障難協講演会 「糖尿病」・「糖尿病予備軍」といわれたら 
平成22年2月21日(日) 埼玉県障害者交流センターにて

 <本日の予定>
  • 糖尿病、糖尿病予備軍とは
  • 糖尿病患者さん増加の背景、糖尿病の原因
  • 糖尿病患者さんの身体で起きていること
  • 治療
    • 食事療法
    • 運動療法
    • 薬物療法
  • 質疑応答

糖尿病患者さんが増えています

日本人は糖尿病になりやすい?

糖尿病とは

体に必要な糖分について

血糖値の変動

ヘモグロビンA1cとは

血糖値の調節

インスリンと血糖値

糖尿病の原因

食べすぎが原因?

糖尿病だと甘いものが食べたくなる?

“血糖値が高い”ということ

血糖値が高いままだと?

糖尿病の症状と合併症

合併症を防ぐためには

血糖値を下げるためには

食事療法の要点

バランスのよい食事のために手のひらでおぼえましょう

脂肪をひかえる方法

食物繊維を多めに

間食はどうしてよくないか

野菜の良い点

動物性脂肪のよくない点

脂肪をひかえる方法

食物繊維を多めに

運動の要点

ウォーキングの実際

短時間の運動の一日合計の効果

薬物療法

薬を飲むときの注意

低血糖について

<まとめ>

<参考文献>

  1. 糖尿病の一次予防、伊藤千賀子著、診断と治療社
  2. NHKテレビテキスト きょうの健康2010年2月号 特集 メタボでないのに糖尿病
  3. 糖尿病食事療法のための食品交換表 第6版 日本糖尿病学会編

<質疑応答>(講演の後の質疑応答のを再現したものです。HP作成の時点で多少加筆しています。)

Q:アルールを飲む人は糖尿病になりやすいとか、糖尿病への影響などありますか
A:アルコールも最終的にはブドウ糖となって吸収されます。カロリーだけでいうと、約一合の日本酒で、ご飯軽く一杯分になります。また、大酒家では慢性膵炎になり、インスリン分泌低下を来す恐れがあります。その点でも糖尿病にはよくありません。全体のカロリーを調節し、一日一合までならよいかもしれませんが、検査結果を見ながら主治医とよく相談して決めていくのがよいでしょう。

Q:万歩計をつけて歩こうと思いますが、一日何歩くら歩いたらいいでしょうか?
A:人それぞれ体力も違いますから、いきなり一万歩から始めるのは大変です。まず、日常生活でどのくらい歩いているかを確かめ、それにさらに1000歩、2000歩と加えていくのがよいでしょう。

Q:糖尿病が増えているということですが、男女比には変化はないのでしょうか
A:ライフスタイルもいろいろ変化していて、社会で活躍する女性も増えていますので、そのあたりをお考えになってのご質問で、大変鋭い質問だと思います。厚生労働省の国民健康栄養調査によると平成9年、14年、19年のデータでは、いずれも男性の方が1.5〜2倍ほど多く、その男女比はあまり変化していません。

Q:運転手の人には糖尿病が多いという話を聞きますが、実際はどうなのでしょうか。またどうしてなのでしょうか。
A:運転手さんは、糖尿病だけでなく、胆石や痔が多いことも知られています。やはり、食事の時間が不規則で、外食が多かったり、夜勤が長いことなどに加え、なんといっても一日中座りっぱなしで、運動不足という要素はあるようです。また、緊張感の強いストレスにさらされているということも無関係ではないでしょう。

Q:歯槽膿漏との関係はありますか?
A:糖尿病のコントロールが悪いと感染症を起こしやすくなります。歯槽膿漏も歯肉や歯根の感染症ですから、糖尿病のコントロールが悪ければ、歯槽膿漏も起こしやすくなります。また、歯槽膿漏から感染が広がって顎や頚部にまで広がってしまう場合もありますから注意が必要です。

Q:主人が糖尿病です。ストレスが糖尿病にはよくないという話がありました。たばこも吸っていて、甘いものも好きなんです。どっちもやめさせるのはストレスがたまりそうで、どちらか一方やめるとしたらどちらがいいですか?
A:もちろんどちらもやめる方がいいのですが、甘いものは、人工甘味料を使ったりしてカロリーを低く押さえることはできますが、たばこは1本だけならいい、というものではありませんので、タバコは何としても止める、そして、甘いものについてはカロリーを押さえてちょっとだけならいい、としてもいいのではないでしょうか。

Q:家族歴についてですが、リウマチなども家族がなっているとなりやすい傾向はあると思うのですが、糖尿病はどの程度関係がありますか?
A:リウマチや膠原病も家族に起こることはあり、何らかの遺伝子の関与は指摘されています。糖尿病も同様ですが、頻度としては、糖尿病の方が家族内発生の頻度は高いようです。最も、糖尿病の罹患率が高いのですから当然かもしれません。また、家族では生活習慣も似てしまうということがありますので、その意味でも家族内で糖尿病の罹患率が増える要因になっているのかもしれません。

Q:腎性糖尿というのは糖尿病とは違うのですか?
A:糖尿病で尿に糖がでてくるのは、血糖値が高くて、尿に漏れてくるわけですが、血糖値が正常でも、腎機能の問題で糖が尿に出てしまうことがあり、それを腎性糖尿といいます。基本的にはそれは治療の必要はありません。

<講演終了後>
講演会の後は、2月初旬に亡くなった障難協理事長の小太刀進さんを偲ぶ会が催されました。小太刀さんがお好きだったお団子、どら焼きなどが用意されていましたが、こんな講演の後だったので、皆さんちょっと食べにくそうでした。小太刀さんとは、2008年9月の障難協の旅行の時にいろいろお話を伺う機会があり、患者さんの会の代表としていろいろなことを考えていらっしゃることを知りました。こういう方がいらっしゃれば患者さんたちも安心だろうなあと思っておりましたので、小太刀さんを失ったことは本当に残念に思います。小太刀さんのご冥福をお祈り申し上げます。

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