成人発症スティル病
成人発症スティル病とは
・発熱、皮疹、リンパ節腫脹、関節炎などの炎症所見を伴う全身性の病気で、慢性に経過します。
・経過中再発することも多い(約50%)です。
・発症年齢は、35歳までの若年発症が6割以上をしめますが70歳以上の高齢発症の報告もあります。男女比は本邦では1:2と女性に多いです。
・慢性関節リウマチのような関節の変形を来すことはありませんが、まれに手関節、足関節の拘縮を来すことがあります。
原因は
・現在のところ明らかな原因は分かっておりません。
・体質・素因や自己免疫の機序、ウイルス感染などの感染症の関与が考えられています。
症状は
・発熱は本症の特徴で、ほぼ全例39℃以上、多くは39.5℃以上の発熱を示します。
・発熱時に出現するサーモンピンクの斑状皮疹が特徴です。痒みは伴いません。無疹部の皮膚を擦過することにより皮疹が出現するケブネル現象も特徴的です。
・朝のこわばりを伴う対称性の少関節炎が手、膝、肘、手指関節にみられます。
・頚部、下顎のリンパ節腫脹がしばしば認められます。また、腹部超音波、腹部CTで脾腫がしばしば認められます。いずれも治療経過に伴い消退します。
・発症初期には咽頭痛がよく認められます。
・軽度の肝障害を認めることがあります。
・薬剤アレルギーが起こりやすいのも特徴です。
・胸膜炎、心膜炎、間質性肺炎、腎炎、中枢神経病変もまれに認められます。
・検査所見では、白血球増加、赤沈の亢進、CRP高値、フェリチン増加などを認めますが、リウマトイド因子、抗核抗体は通常陰性です。
治療は
・炎症を抑えるために、非ステロイド抗炎症剤がもちいられますが、これらだけではよくならず、ステロイドが必要となる例が多いです。
・ステロイドはプレドニン換算で20〜40mg/日のステロイドを用います。この投与量で効果がみられないときや、重篤な臓器病変のある例では60mg/日、あるいはステロイドパルス療法が必要となります。初期量を3〜4週間続け、症状、データをみながら2週間で1割を目安に減量すします。20mg/日まで減量してからはさらに時間をかけて減量をはかります。
・慢性多関節炎型に対して抗リウマチ薬を使うこともあります。
・再発を繰り返す例ではメソトレキセート(5〜7.5mg/週1日)、シクロフォスファミド(50〜100mg/日)、アザチオプリン(50〜100mg/日)などの免疫抑制剤が用いられます。
日常生活での注意点は
・寛解期には日常生活、社会復帰、妊娠・出産も十分可能ですが、再発例が多いので以下の注意点を守りましょう。
・服薬を欠かさないこと。
・感染予防、過労を避けること。
・薬剤アレルギーが起こりやすいので市販薬の服用は控えるようにしましょう。