1.膠原病とは

Q:結合組織に病変、免疫の異常が起こるとはどういうことですか?

A:いずれも膠原病の特徴で、ほかの病気とは異なる点です。

  たとえば、“肺の病気”といえば肺に何らかの異常が起こるとか、“胃の病気”といえば胃に何らかの異常が起こるのだということがイメージできます。これらの病気ではその臓器に特異的な、つまり、その臓器にしか存在しない細胞を中心に病変が生じるため、それぞれの臓器に限定して異常が起こります。しかし膠原病の場合、いろいろな臓器に病気が起こることが特徴です。“結合組織”というのはどの臓器にも存在するもので、臓器の骨格にあたるものです。膠原病では、その結合組織に異常が起こるためいろいろな臓器に異常が起こるのです。といっても、膠原病の患者さんはすべての臓器に障害を有しているわけではありません。どの臓器に異常が起きるかということは疾患によって異なりますし、同じ疾患でも患者さんによって異なります。

そして各臓器の結合組織で起きている“病変”というのが“炎症”です。炎症というのはもともと体の防御反応であり正常な反応です。たとえば皮膚のキズからバイ菌が入ったとします。そうすると体はそのバイ菌を排除しようとします。そのときそのキズのまわりは赤く腫れて熱をもちます。それが炎症です。そしてバイ菌が排除されると腫れや熱はなくなります。このような反応が起こり体がバイ菌に負けないようにしている体のシステムを“免疫”といいます。ですから免疫が正常に働いているときはバイ菌が体の中に入るというような事態が起こらない限り炎症は起こりません。ところが膠原病の患者さんでは免疫に異常が起こっているためにそのような事態でなくても炎症が起こってしまうのです。その炎症がどこに起こるかというと結合組織に起こるというわけです。(P. 18〜21)