9.膠原病の経過

Q:皮膚筋炎の悪い状態のときはどんな症状がでるのか

A:皮膚筋炎の症状といった場合、皮膚筋炎そのものの症状と合併症の症状に分けることができると思います。皮膚筋炎そのものの症状としては皮疹と筋症状です。具体的には瞼の上にできる皮疹であるヘリオトロープ疹や指の関節面にできるゴットロン疹などの皮膚症状と体に近い部分の筋肉痛、筋力低下です。具体的にはしゃがんでから立ち上がる時に力が入らない、仰向けから起きあがるのに力が入らない、腕が上がらない、などの症状や、肩のまわりの筋肉や太股の筋肉をおさえたときの痛みなどです。また、これらの皮膚、筋肉の症状がなくても合併症の症状が起こることはあります。具体的には肺症状です。皮膚筋炎の約半数の患者さんに間質性肺炎を合併するといわれています。一言で間質性肺炎といってもいろいろなタイプがありますが、皮膚筋炎の患者さんで、経過中に合併している間質性肺炎が悪化する場合もあります。症状としては咳、息切れなどです。これらの症状があるようでしたら必ず主治医の先生に相談してください。(p. 169〜175)

Q:治癒する可能性はないのか

A:まずいっておきたいことは、膠原病は治ります。しかし治療の継続は必要です。ということです。いわゆる治癒といった場合、薬をやめることも可能な状態のことを指していると思いますが、そこまでうまくゆくケースは残念ながら非常に少ないのが現状です。しかしその場合でも経過観察のための受診と検査は必要と考えてください。多くの場合、他の慢性疾患同様、落ちついた状態を維持しながら治療を続けていくことが必要です。そして内蔵病変の程度によりますが、多少の制限付きながら、日常生活、仕事、趣味などを続けていくことは可能です。治らない病気と悲観することなく療養を続けましょう。(p. 244〜247)

Q:強皮症の皮膚は元に戻るのか

A:今のところ完全に元に戻す薬はありません。しかしDペニシラミンやコルヒチンなどを使いながら皮膚を冷やさないようにし、よく動かし、傷をつくらないように、傷をつくっても早く処置し清潔を保つ、というようなことに心がければかなり回復します。おそらく今は、指が曲がりにくく指先は固くなっているかもしれませんが、根気よく治療を続けていけばかなり良い状態には戻ります。(p. 162〜169)