中国で流行している新型トリインフルエンザについて

今年330日に3例のトリからの感染による新しいインフルエンザ症例が報告されて以来、同様の症例は増加し、5月8日までに131症例が報告されています。そのうち32例は亡くなっています。原因とされるウイルスは今まで流行したことのないインフルエンザAH7N9という型の新型インフルエンザウイルスです。中国当局の賢明な予防策によって症例数の増加の速度は落ちてきているそうです。とはいえ、今後パンデミック(世界的大流行)を来す危険性も指摘されています。パンデミックになる要因として3つの条件があると言われています。それは、(1)ほとんどの人がそのウイルスに対して免疫がないこと(2)そのウイルスに強い病原生があること(3)人から人への感染が起こること、だそうです。今のところ、(1)と(2)の条件は満たしています。(3)の人から人への感染については今のところ起きていないと考えられていますが、数年前にトリから人への感染で重症肺炎の原因となり、人から人への感染を起こすことが懸念されたH5N1インフルエンザウイルスの場合、これまで10年間に600例が感染したと言われていますが、今回のH7N9インフルエンザウイルスについては2か月で100例以上と圧倒的に症例数は多く、従って、感染力は強く、人から人への感染を起こすのではないかという警戒感がより強いのです。 

 タミフルは効くのか

New England Journal of Medicine 誌に510日までに報告された111例のH7N9インフルエンザウイルス感染の症例について報告されています。その報告によると、症例の76.6%は集中治療室での治療が必要とされ、27.0%は亡くなっています。42.3%65歳以上の方でした。タミフルなどの抗ウイルス薬については97.3%に投与されていますが、発症から48時間以内に投与できた症例は9.9%にすぎず、入院前に投与できた症例は15.3%、入院後24時間までに投与できた症例は64.9%だったそうです。死亡例についての分析では、基礎疾患があったケースが明らかに多く、抗ウイルス薬の投与が発症から3日以上経っていた症例も死亡例が多い傾向はありました。実験室レベルではタミフルなどは効くといわれています。おそらく効くのだろうと期待はしています。

 ワクチンは?

現在、ワクチンの製造が急がれていますが、ワクチンの候補となるウイルス株が2株分離され、51日に米国CDCからワクチン製造の資格を有する研究所に送られたということです。しかし、ワクチン製造の工程は複雑で、安全性の確認も必要です。大量生産が可能となるまでに6か月かかると言われています。実際に多くの人がワクチンの接種を受けられるようになるにはさらに期間がかかるでしょう。それまでに大流行を来さないよう、懸命な予防措置がとられているというのが現状です。

 新しい情報が入りましたら、またアップします。

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