腰痛に対する指圧の効果

腰痛や肩こりを経験した人なら誰でも指圧の効果を実感したことはあることでしょう。実際、指圧による除痛効果はこれまでにも報告はされています。しかし、その効果を科学的に評価し、温熱療法や理学療法と比べるとどのくらい違うものなのか、ということはあまりわかっていませんでした。今回発表された論文は、一般的な理学療法と指圧の効果について、西洋医学で用いられる指標を使って検討したものです。British Medical Journal 217日号  (BMJ, doi: 10. 1136/bmj.38744.672616.AE)に掲載されたものです。

台湾の施設で行われた研究です。対象となったのは、18歳以上の、4ヶ月以上の腰痛を患った人たちで、全身性疾患に伴う腰痛、がん、精神疾患による腰痛、妊娠中の女性、急性期の治療を要する腰痛などは対象外としています。129例の患者さんを2グループに分けました。64例の患者さんには指圧療法を行い、65例の患者さんには一般的な理学療法(骨盤牽引、脊椎触診、温熱療法、赤外線療法、電気刺激、運動療法)を行いました。いずれのグループも、一ヶ月に6回の施療を、熟練した療法士の手により行っています。一ヶ月間の治療の前後と、6ヶ月後に評価を行っています。痛み、障害の程度などを3つの尺度で評価しています。

その結果、治療後の痛み、障害の程度の指標のいずれも指圧を行ったグループの方がよりよい改善が認められました。さらに興味深いことは、6ヶ月後に行った評価でもその効果が残っており、つまり、一ヶ月間の施療でも効果は6ヶ月後まで持続するという結果が得られました。

すなわち腰痛に対する指圧の効果は短期間にとどまらず長期間持続することもわかりました。

論文の著者等も考察の中で述べていますが、指圧も理学療法も療法士の技術によるところが大きいという点は課題として残ります。

また、腰痛に悩まされたとき、まずは整形外科で診てもらい、原因を明らかにし、指圧や理学療法を受けてもよいものかの診断をつけてもらうことも忘れてはいけません。そのうえで、指圧も治療にうまく取り入れれば、よい効果が得られることになるでしょう。

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