がんの発見のための重要な症状

がんを早期発見するためには定期的な健康診断は大切ですが、それと同様に大切なことは、気になる症状があったら早めに病院にかかるということだと思います。中でも、血尿、血痰、嚥下障害(食べ物を飲み込んだときにつかえる感じ)、直腸出血(便に血が混じる)といった症状には特に注意が必要なようです。

血尿は痛みを伴う場合、伴わない場合、目で見てわかるほどの血尿、検査してはじめてわかる血尿と程度は様々ですが、特に痛みのない目で見てわかる血尿が尿路系のがんと関連が深いことが知られています。

嚥下障害は食道がんや胃がんの早期症状であることがあります。

血痰は気管支炎の患者さんの40%には認められるとも言われていて、必ずしもがんがあるとは限りません。また、結核、肺梗塞などのがんではない重要な疾患の兆候でもあります。

直腸出血は、欧米の統計では人口の7〜16%は経験している症状といわれていますが、直腸がん、大腸がんの初期兆候でもあります。

それらの症状とがんの診断との関連を統計的に検討した研究が発表されました。British Medical Journal 2007年5月10日号に発表されました。イギリスで15歳以上の762,325人を対象に行われた研究です。

血尿については11,108人がはじめて血尿を経験し、その後3年間に尿路系のがんが見つかった例が、男性で472人、女性で162人ありました。

血痰については、4,812人が血痰を経験し、そのうち男性で220人、女性で81人に呼吸器系のがんが見つかっています。

嚥下障害については、5,999人が血痰を経験し、男性で150人、女性で81人に消化器系のがんが見つかっています。

直腸出血については、15,289人が直腸出血を経験し、男性184人、女性154人に直腸がん、大腸がんが見つかりました。いずれの場合も多くは症状発現から6ヵ月以内に診断されていました。

これらの症状は以前から要注意の症状として知られていましたが、このような統計的な裏付けもあることが示されたわけです。

これらのような気になる症状があったら早めに病院を受診しましょう。

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