砂浜の砂にご注意

さあ、夏休み。海でのレジャーが楽しみになります。その気分に水を差すつもりはありませんが、砂浜で遊ぶとき、ちょっと知っておきたいことを紹介します。

砂浜の砂には、実は多くの病原菌が潜んでいます。主にアメリカでの報告ですが、緑膿菌、サルモネラ菌、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌、ビブリオなどの最近に加え、ウイルス、真菌、寄生虫などが検出されることが報告されています。その原因は、下水処理施設からの排水や、野生動物の糞便から、などという指摘や、浜辺の砂が最近にとっては大変棲みやすい環境であることも指摘されています。従って、これらの病原体によって様々な疾患、主には消化器感染症を起こすことが懸念されています。今回紹介するのは、その点を大規模な疫学調査で調査したものです。

American journal of Epidemiology 誌2009年7月15日号(2009, 170, 164- 172)に掲載されたものです。アメリカでの調査です、2003年から2007年にかけて、アメリカの7か所のビーチでアンケート調査を行いました。27,365人について、ビーチでどのような遊び方をしたかを調査し、さらに、10〜12日後に電話調査で、体調、特に消化器症状を確認するというものです。

その結果、ビーチで、砂を掘って遊んだ人や、砂に埋まって遊んだ人たちに、嘔吐、吐き気、下痢などの消化器症状が、そのような遊びをしなかった人たちより多かったということがわかりました。多かったといっても1.2倍程度ですが、たとえば、砂に埋まって遊んではいない人たちの7%に消化器症状があり、砂に埋まって遊んだ人たちの9%に消化器症状があったということです。アメリカでは、ビーチといった場合、湖のビーチもありますが、海と湖との比較では海の方が若干消化器症状の出現は多かったという結果です。ビーチによって頻度には差があるのですが、砂の粒子サイズや湿度など、細菌の棲みやすさが違うためではないかと著者らは考察しています。

この論文はNew York Times でも取り上げられていて、この論文の著者は、インタビューの中で、ビーチで食べ物を食べる時はよく手を洗ってからにするようにと述べています。

砂浜で、家から持ってきたおにぎりを食べたり、海の家で売っている食べ物を食べることが多いと思いますが、そんなときも、食べる前に手を洗うのがよいということになります。

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