ボタン電池の飲み込みに注意

小さいお子さんが間違って飲み込んでしまうものは様々で、予期せぬものを飲み込んでしまうことがあります。自然に便に排泄されるのを待っていればよい場合もありますが、中には急いで摘出しなければいけないものもあります。その代表がボタン電池です。

今回紹介する論文は、Pediatrics 20106月号(2010 Jun; 125:1168- 1177)に掲載されたものです。

アメリカの調査を元に、ボタン電池の飲み込み事故の実態と対策について述べられています。1985年から2009年までにボタン電池の飲み込み事故は6.7倍に増加しているそうです。特に直径22.5mmのボタン電池やリチウム電池の飲み込み事故の増加が著しいそうです。年齢は13歳が41%を占め、もっとも多く、また、60歳以上も16%を占めていました。飲み込んでしまった後に起こることは様々ですが、重症化しやすいのは直径20mm以上の電池で、4歳以下の場合だったそうです。ボタン電池が食道に引っかかったりするとそこで局所的なやけどを起こす場合があり、その場合、飲み込んでしまってから2時間〜2時間半の間に起きているそうです。重症例は飲み込みに気づかれていなかった例に多く、また、症状からボタン電池が原因と疑うのが難しいことから、正しく診断されていなかったことも多かったということです。

ボタン電池の飲み込みんでしまい、食道などの粘膜に電池が引っかかることによって起こることは次のようなことが考えられています。粘膜組織を加水分解したり、電池のマイナス側で水素を発生してしまったりする電気分解の電流が生じてしまうことや、アルカリ性の電解質液が漏れてしまうことや、機械的な圧迫などです。直径20mmのボタン電池は電圧3ボルトで、ボタン電池としては強い電流を生じるおそれがあります。それにより、最悪の場合、食道に穴があいたり、声帯に障害が残ってしまったり、さらには命に関わる事故になることもあったということです。

お子さんのいるご家庭では、ボタン電池はお子さんの手の届かないところに置いておくのがよいでしょう。そして、万が一飲み込みが疑われる場合は、早急に病院を受診するようにしてください。

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