第2回健康講座

和菓子、洋菓子

糖尿病の食事療法で大切なポイントは以下に示すものです。

1 適正なカロリー
2 動物性脂肪を少なく
3 単純糖質は少なく
4 塩分は少なく
5 食物線維を多く

和菓子、洋菓子などはこの中の2と3に深く関わっていて、とりすぎると糖尿病のコントロールを悪くします。なぜこれらに注意が必要なのかをまず解説します。疫学的なデータと生理学的なデータを示します。

疫学的なデータ:

糖尿病は遺伝的な体質と食習慣、運動不足が重なり発病すると考えられています。こんなデータがあります。遺伝的に同じ背景をもったアメリカに住む日系人と日本に住む日本人を比較したものです。在米日系人は日本人に比べて糖尿病になる人が2倍から3倍多いといわれています。遺伝的体質はほぼ同じと考えられますので原因は食事にあると考えられ、食習慣を比較したデータがあります。これによると、在米日系人は日本人に比べ、米類、穀類の摂取は少なく、逆に動物性食品、甘味食品、油脂食品が多いということがわかりました。つまりこのような食習慣が糖尿病発病と深く関わっているのだろうというわけです(伊藤千賀子、糖尿病の一次予防、診断と治療社より)。ですから、お菓子類をとりすぎると糖尿病になる可能性もありますし、糖尿病の患者さんにとっては好ましくないということになります。

生理学的なデータ:

ご飯に比べ、砂糖などの単純糖質は血糖の上昇が速い点も糖尿病には良くありません。

また、洋菓子に使われるバターなどの動物性脂肪は、少量でもカロリーが高いだけでなく、インスリン抵抗性を増すと考えられており、これも糖尿病には良くない理由となります。

これらの理由から単純糖質の多い和菓子、さらに動物性脂肪も多い洋菓子は糖尿病患者さんはとりすぎにならないような注意が必要なのです。

では、実際和菓子や洋菓子にどれくらいのカロリーや脂肪分が含まれるかみてみましょう。

データは“お菓子とパンのカロリーガイドブック”(女子栄養大学出版部編)から引用しました。

食品名 一個あたりのカロリー(kcal) 蛋白質(g) 脂肪 (g) 炭水化物(g)
不二家スペシャルストロベリー 300 3.1 21.2 24.2
不二家三角ショート 187 2 12.9 15.8
ヒロタ カスタードシュークリーム 78 1.9 3.7 9.4
イタリアントマト いちごのショートケーキ 452 5.1 35.7 25.9
ハーゲンダッツ  ミニカップバニラ 276 4.6 17.3 25.5
虎屋 ようかん 204 2.5 0.1 47.9
千鳥屋 カステーラ 132 3.1 2.4 24.4

前回適正なごはんの量を勉強しました。だいたい標準的には一回200〜240kcalが適正でした。それと比較するといかにお菓子のカロリーが高いかわかるでしょう。

もし、洋菓子では脂肪分も多いことがおわかりいただけるでしょう。

しかし、お菓子にも良いところはたくさんあります。

エネルギー補給が容易にできる

お茶とともにリラクゼーションやコミュニケーションに役立つ

季節を楽しむ

職人の技術を愛でる

などです

そこで、お菓子をどう扱ったらよいかひとつの案を示したいと思います。一部は“お菓子とパンのカロリーガイドブック”を参考としています。

お菓子のカロリーなどを調べ、食べたものは記録する
お菓子を厳選する
“一個”にこだわらない
果物、ゼリーならば比較的カロリーは低い

これらのことをちょっと考えて実行してみてはどうでしょうか。

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