チョコレートを食ベている人の方が心筋梗塞後の予後がよい?

誰でも病気になると、今までの自分の生活の中で、何がいけなかったのだろう、これからは何を気をつけたらいいのだろうと考えたくなるものです。その中でも、食べ物は最も関心のあるところではないでしょうか。

今回発表された論文は、チョコレートを食ベていた人では、ー度心筋梗塞になった後の経過がよいという興味深いものです。

Journal of Internal Medicine 2009; 266: 248- 257に発表されたものです。スウェーデンで行なわれた研究です。1992年から1994年の間にはじめて心筋梗塞になった1,169人が対象です。ただし、糖尿病のある患者さんは含まれていません。心筋梗塞になる前12か月間のチョコレートの摂取量を自己申告で聞き取り調査しています。その後8年間、追跡調査を行ないました。この8年間の心疾患による死亡について検討した結果では、チョコレートを全く食ベていなかった人たちの死亡率を1とすると、チョコレート50gを食ベることが週1回以下の人では0.73、週1回以下の人では0.56、週2~3回の人では0.34という結果でした。他の原因での死亡については差はなかったということです。また、他の甘味の摂取量とは相関は認められなかったということです。

チョコレートを食べている人の方が、しかも、たくさん食べている人程予後がよかったという結果になりました。そうなると、週2〜3回といわず、毎日1回あるいはそれ以上食べていたらどうなのだろう、という疑問もわきます。実際、この研究では、実際にはチョコレ一トの摂取量については、50gのチョコレートを全く食べない、月1回以下、月1〜3回、週1回、週2回、週3〜4回、週5〜6回、1日1回、1日2回、1日3回以上と細かく分けて調べたようです。しかし、あまり人数が少なくてはデータとして成り立ちませんので、前述のように、ゼロから週2〜3回の中で検討されたということのようです。チョコレートを食べているとコレステロールや血糖値が上がるのではないかと心配に思いますが、実際には、中性脂肪、LDLコレステロ一ル(悪玉コレステロール)、血糖値なども調べていますが、大きな差はありませんでした。

チョコレートの効能については多くのことがわかっており、不飽和脂肪酸であるステアリン酸が多いことや、抗酸化物質であるフラボノイドを多く含むことが関係しているだろうと考えられています。ちなみに、フラボノイドは、ミルクチョコレートよりブラックチョコレートの方が多く含んでいます。

ただし、糖尿病の人はこの研究の対象ではなかったことや、チョコレートを食べていても、LDLコレステロールなどは上昇しないようにコントロールされていたということには注意してこの結果を読む必要はあります。

食べすぎはよくありませんが、適量を守ればよいこともあるようです。

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