チョコレートで血圧低下?

以前、ココアが体にいいとテレビで取り上げられ、一時は店頭からなくなるほどの騒ぎになったことがありました。確かに、ココアに含まれる植物性ポリフェノールに血圧を下げる効果があります。しかし、これまで報告されていたものは、チョコレートに換算すると100gに相当するココアの摂取で効果が認められたというもので、それではカロリー、乳脂肪ともにとり過ぎとなってしまいます。今回紹介する論文では、少量の日常的に摂取できるココアの量でも効果があるというものです。米国医師会雑誌 7月 4日号 (JAMA. 2007; 298 (1): 49- 60)に発表されたものです。

ドイツからの発表で、血圧が高め(正常高値またはstage 1高血圧)で、他に危険因子を持たない56〜73歳の44人(男性20名、女性24名)を対象に行いました。22人にはカカオの入ったチョコレート6.3g、30kcalを、のこりの22人にはカカオの入っていない同カロリーのホワイトチョコレートを毎日とってもらい、18週間の観察を行いました。6.3gのチョコレートには30mgのポリフェノールが含まれているそうです。そして、ホワイトチョコレートにはポリフェノールは含まれていません。

その結果、チョコレートをとった人たちは血圧の低下が見られ、収縮期血圧が平均2.9、拡張期血圧が平均1.9mmHg低下したというのです。体重、血清脂質レベル、血糖値などには変化が見られなかったということです。ホワイトチョコレートをとった人たちは血圧その他に変化は認められませんでした。チョコレートをとった人たちでは、s-nitrosoglutathioneというココアポリフェノールが増えていたということで、これが血圧低下の要因と考えられています。

約3mmHg程度の血圧の低下にどの程度の効果があるのかと思いますが、統計的には、それにより脳卒中のリスクは8%低下し、冠動脈疾患のリスクは5%低下し、全死亡リスクは4%低下するのです。

この程度の量のココアであれば、日常的に摂取可能であろうし、食習慣の一つに加えるのはよいことではないかと著者らは述べています。しかし、すでに中等症以上の高血圧のある人や、正常血圧の人でどの程度の効果があるかはまだ証明されていません。

たまたま聞いていたCNNニュース(日本時間7月4日)でもこの論文のことが紹介されていましたが、カロリーのとり過ぎにならないように気をつけましょうという言葉で締めくくられていました。チョコレートというのは食べ始めるとつい食べ過ぎてしまうということはよくありますから、その点は気をつけましょう。

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