コーヒーの健康への影響

嗜好品であるコーヒーは、私自身も毎朝飲んでいますし、健康への影響が気になるところです。これまでにも様々なデータが発表されていますが、肥満や高血圧、糖尿病に対する影響に関するものが多く、コーヒーを飲んでいる方が長生きできるのか、その逆なのか、という視点でのデータは限られていました。今回発表された論文では、コーヒーの消費量と死亡率を検討した疫学調査の結果が発表されています。

米国で行われた研究で、Mayo Clinic Proceeding 6月20日号に発表されました。
43,727 人の男女について、1971年から2002年にわたって調査したものです。この間に2512人が亡くなっており、そのうち32%は心血管系疾患(心筋梗塞や脳卒中)による死亡でした。コーヒーの量と死亡との関係を調べたところ、55歳以上では、コーヒーをたくさん飲む人も飲まない人も死亡率は変わらない、という結果でした。しかし、55歳以下については1週間に28杯以上のコーヒーを飲む人は死亡率が高くなる傾向が認められました。もともとの持病やアルコールの摂取量、運動能力などをそろえて比較すると、1週間に28杯以上のコーヒーを飲む人の死亡率は、飲まない人に比べて、男性でハザード比1.56、女性では2.13となりました。週28杯未満の人たちの間では飲まない人と比べて差は認められませんでした。
今までのデータでもコーヒーの飲み過ぎは死亡率が高くなるという傾向が示されていましたが、今回のデータは規模も大きく、若い人たちも対象に含まれていて、信頼できそうなデータです。以前、このホームページでも紹介した論文では、コーヒーを飲む人の方が死亡率は低いというものでしたが、その研究の対象者よりも、こちらの研究対象の方が年齢の若い人たちが多く含まれているという点が異なります、

コーヒーの体に対する影響としてはよい面と、好ましくない面とがあります。コーヒーには抗酸化物質が含まれていて炎症に対してはよい効果が期待できます。一方、カフェインによってアドレナリン分泌が促進され、インスリンの効果が阻害され、血圧が上がるなど、あまりよくない効果もあることがわかっています。さらに、コーヒーの影響は人によって異なり、遺伝的な要因(体質)もコーヒーの効果に関係しているだろうといわれています。
今回のデータからは、一日2?3杯ならよいが、4杯以上のコーヒーを毎日飲むのは体にはよくない、ということは言えそうです。
なにごとも程々がいいようです。

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