便秘の治療
便秘はつらいものです。治療は薬に頼るよりもまず、食事と生活のリズムを変えることから始めましょう。
<生活リズムについて>
排便反射をうまく誘導しましょう。便秘の人でも、便は夜間に大腸の下の方(出口近く)まで来ていることが多いです。そして、朝食を食べると、“胃・結腸反射”がおこります。つまり、胃に食べ物が入ったことが刺激となって、大腸全体が動き出し、出口近くまで進んできた便をさらに進め、排便へと導きます。ですから、朝食を必ずとり、朝食の後も少し時間に余裕がある、という生活リズムに変えることが大切です。もし、あなたが、平日は忙しく、朝食抜きで出かけることが多く、便秘がちなのに、休みの日には朝食の後、排便があるようなら、効果は期待できます。是非、平日も朝食をとって、その後ゆっくりできる時間を持つように生活リズムを変えましょう。
<食事について>
線維の多いものを食べましょう。野菜、芋類、豆類、海草類に多く含まれています。キャベツやレタスというのは線維は多いですが、1回に食べる量から計算するとあまり効率は良くありません。大豆、大根、ジャガイモ、カボチャ、サツマイモ、ワカメ、などがお勧めです。
水分の補給も便秘解消につながります。朝起きがけにいっぱいの冷水を飲むのも腸への良い刺激となります。
適量の油も必要です。ダイエットのために油ぬきの食事ばかりしていると便秘になることがあります。適量の油は摂るようにしましょう。
いろいろやっても頑固な便秘もあります。大腸のポリープや腫瘍が原因の場合もありますので、一度は医療機関で相談してみて下さい。
<薬について>
一言で便秘薬といってもいろいろあります。食事や、生活リズムを変えても良くならない場合は、便秘のタイプに合わせて以下のような便秘薬を使い分けます。
@便を柔らかくするタイプのもの
このタイプのものは、便が硬いタイプの便秘の人に適しています。量が多いと下痢になってしまうこともあります。
A腸の動きを良くするタイプのもの
このタイプのものは、朝、便は出るけど量が少ないというような人に適しています。主に寝る前に服用し、夜間の腸の動きを良くし、朝の排便につなげます。このタイプの薬ではかえっておなかが痛くなる場合もありますので注意が必要です。
B浣腸や、座薬のように、排便反射を促進するタイプのもの
浣腸というと、油のようなもので、便の通過をスムースにするものと思いがちですが、その働きはそれだけではないのです。便は、肛門のちょっと上の直腸にたまってくると、直腸が膨らみます。そうなると大腸の動きがさらに刺激されて便を排出します。いわゆる、便意を催す状態となります。この状態を人工的に作ってしまうのが浣腸や、座薬の働きです。座薬は直腸内で炭酸ガスを発生し、直腸を膨らますのです。このタイプの薬は、痔のある方や、骨盤内の婦人科疾患(子宮筋腫、卵巣腫瘍など)のある方の場合は適さないこともありますので注意して下さい
便秘薬も試したけど良くならないという場合は、あなたの便秘のタイプと薬が合っていない可能性もあります。医療機関でのご相談をお勧めします。