デング熱について

(以下の文章は、平成26年9月4日の時点でまとめたものです。今後の状況によっては改変が必要になるかもしれない点はご了解ください。)


平成26年8月末、日本でもデング熱の患者さんが発生しました。患者さんは代々木公園に集まっていた人たちで、おそらくそこに生息していた蚊がデングウイルスを持っていて、その蚊から感染したものと考えられています。実際、9月4日の報道では、代々木公園で捕獲した蚊からデングウイルスが検出されたそうです。
もともと熱帯地方にしか生息しないネッタイシマカという蚊が媒介するため、日本での患者発生は、従来は海外で感染して帰国したケースに限られていました。しかし、今回、日本に生息するヒトスジシマカもウイルスを媒介することが分かりました。

このような事態となり、日本に住んでいてもデング熱にかかる可能性が出てきました。
ここで、デング熱の症状について、調べた範囲でまとめてみます。

潜伏期(つまり、ウイルスを持つ蚊に刺されてから発病するまで)は3〜7日、といわれていますが、ウイルスを持つ蚊に刺されたのがいつだったか分かっていることが難しいケースも多いと思われます。

症状は、突然の発熱で始まるそうです。発熱以外には、頭痛、目の奥の痛み、筋肉痛、関節痛が多いといわれています。また、食欲低下、腹痛、便秘を伴うこともあるそうです。発熱パターンは「二相性」、といって、一度下がってまた上がる、というパターンのことがあります。
発病後、3〜4日で発疹が出現します。発疹は胸、体〜始まり、手足、顔に広がります。これらの症状が
1週間程度続いて消失し、回復するといわれています。
発病はインフルエンザに似ていますが、咳や鼻水がない点がインフルエンザとは異なるでしょう。また、のどの痛みもありませんから扁桃腺炎とも異なります。ほかの感染症との違いでは、目の奥の痛みや筋肉痛を伴うところが特徴と言えそうです。

発病してしまったら
発熱が起きた段階では、デング熱なのかどうかわからないわけですから、まず病院を受診して、病状や経過をよく話して医師の診察を受けてください。平成26年9月4日の時点で、厚生労働省も「蚊に刺されてから3~7日のうちに高熱、目の痛み、頭痛、関節痛などの症状があればデング熱の可能性があるので、早めに医療機関を受診するように」と通達を出しています。
病院で、ほかの感染症が除外され、デング熱かもしれないということになっても慌てないでください。インフルエンザなどと異なり、人から人に感染することはありません。ですから、家族に直接うつることはありません。ただし、家の中にネッタイシマカが侵入していて、あなたを刺せば、その蚊がウイルスを媒介して感染を広げるおそれはあるかもしれません。蚊取り線香などを有効活用しましょう。
デング熱の患者さんのうち、統計的には400人に1人は、デング出血熱という重症型になることがあるようです。その場合、平熱に戻りかけた頃に、不安、興奮状態、発汗、手足が冷たくなる、などの症状が現れて来るといわれています。そのような症状があったら、速やかに病院を受診し、入院治療を受けてください。

診断 
インフルエンザのような迅速診断法があるわけではありません。確定診断は血液からウイルスを検出するPCR法という方法で行いますが、通常の病院の採血では検査できません。臨床症状や流行状況から判断するしかありません。血液検査では白血球減少、血小板減少がみられることがありますが、他のウイルス感染でもみられることなのでそれだけでデング熱とは言えません。問診が重要ですので、気になること(実は、代々木公園に行った、とか)は必ず申し出るようにしてください。

治療
インフルエンザに対するタミフルなどのような特効薬はありません。水分をとり、高熱に対してはアセトアミノフェンなどの解熱剤を使って対処します。解熱剤としてアスピリンを使うのはよくないとされています。

予防
蚊に刺されない工夫をしましょう。長袖、長ズボン、虫除けスプレー、蚊取り線香を活用しましょう。私個人のアウトドアでのキャンプなどの経験では蚊取り線香がもっとも効果があるように思います。腰から蚊取り線香をぶら下げる容器を使うのがいいでしょう。ただ、これはあくまでも蚊に刺されない効果であって、デング熱の予防効果といえるかどうかは未知数ですので念のため。
人から人へ感染することはありませんし、重症化することも滅多にありませんから過度な心配をすることはありませんが、基礎疾患のある方、体力の落ちている方は特に予防を心がけましょう

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