ダイエットにいいのは低脂肪食?低蛋白食?低炭水化物食?

 ダイエットにより効果的な食事については諸説あります。基礎代謝プラス運動量よりも少ないカロリーの食事をしていれば理論的には体重は減るはずです。しかし、より効果を上げるために、炭水化物ダイエットや低脂肪ダイエットなどが提唱されています。いろいろなことが言われていますが、実際に、三大栄養素である脂肪、蛋白質、炭水化物のうち、どれを減らすとさらに効果が上がるのかということを直接比較して、さらに長期間にわたって検討された研究はあまりありません。今回紹介するのは、その点を明らかにするために行われた研究です。

New England Journal of Medicine 2009年2月26日号 (360: 859- 873, 2009)に掲載された論文です。アメリカで行われた研究で、811人の肥満成人(BMI 25〜40)を対象に行われました。対象者には、カロリー制限をした食事の中でさらに、脂肪、蛋白質、炭水化物の比率を4パターンに分けた食事をとってもらいました。すなわち、脂肪、蛋白質、炭水化物の占める割合が、それぞれ20%, 15%, 65%のもの、20%, 25%, 55%のもの、40%, 15%, 45%のもの、40%, 25%, 35%のものの4パターンです。その食事で2年間の追跡調査を行いました。また、期間中、定期的に指導に通ってもらい、週90分間の中等度の運動という目標も課せられました。

さて、結果ですが、体重は、いずれの食事でも、最初の6か月で平均6kg(7%)の減少、その後多少リバウンドして、2年で平均4kgの減少を認めました。参加者の14〜15%の人は、最初の体重の10%以上の減少を認めました。しかし、4パターンの食事の違いで大きな差はなかったというのです。たとえば、蛋白質が15%の食事と25%の食事と比べて平均で3.0kgと3.6kg、脂肪が20%と40%の食事で比べていずれも3.3kg、炭水化物が65%と35%の食事で比べて2.9kgと3.4kgであまり大きな差ではなく、統計学的には有意な差とはいえませんでした。体重の減少とよく相関したのは、指導に通った回数だそうです。まじめに指導に通った人ほど体重が減った、ということです。

結局、この研究からは、体重を減らすという観点では、カロリーを制限すれば、三大栄養素の比率にかかわらず、体重の減り方は変わらないということがいえそうです。1970年代には、炭水化物を抑えた食事がダイエットにいいと言われていましたが、ここ20年くらいは低脂肪ダイエットがよいというのが一般的にもなっていました。一方で、最近になって再び炭水化物ダイエットが脚光を浴びたり、高蛋白ダイエットがいいといわれたりしてきました。このあたりのことは、Good Calories, Bad Calories, Gary Taubes著に詳しく記載されていますが、私も全部は読んでいません。バランスよく全体的なカロリーを減らし、根気よく続けることが大切ということなのでしょう。

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