高齢者の転倒予防の工夫
最近、有名人の転倒による事故が報道されています。元気そうな方でも、ちょっとしたことで転倒するということはあるのです。当院でも、転倒してけがをしたという話は時々患者さんから聞きます。転倒には気をつけたいものです。
今回、米国老年学会と英国老年学会が、転倒予防のためのガイドラインを改訂し発表しました。Journal of the American Geriatirics Societyの2011年1月13号に掲載されたものです(vol59, 1, 148- 157, 2011)。このガイドラインは、2001年から2008年に発表された、多くの研究を検討し、転倒予防効果があると考えられるものをあげ、まとめています。要点を述べると次のようになります。
バランス強化の運動が推奨される。たとえば、歩行、筋力強化、ストレッチなどの体操、太極拳などが推奨される。
足の問題、たとえば、足の指の変形、潰瘍、爪の変形などはできるだけ改善させる。
履き物にも注意する。緩い靴、ひもやバックルがしっかり結んでいない履き物などは履かないようにする。かかとの高い靴は避ける。
家庭内の環境を整える。たとえば、手すりをつけたり、足下の明かりをつけるようにしたりするなど。
白内障の手術が必要であれば受けるようにする。
飲み薬について検討する。(これは医師がすべきことですが、薬を少なくする、とくに、安定剤や睡眠導入剤、抗うつ薬を減量、中止することは転倒予防効果につながるそうです。)
転倒による事故は一瞬にして生活を変えてしまうことさえあります。できるだけの予防を心がけましょう。