インフルエンザワクチンの効果

心血管系疾患つまり心筋梗塞や脳卒中の危険因子として、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、喫煙などが知られていますが、感染症にかかるということも心血管系疾患の予後に関わってくるとこが推察されています。今回紹介するのは、インフルエンザワクチン接種が心血管系疾患を有する人にとって有益かどうかという点について検討しています。

米国医師会雑誌(Journal of American Medicine Association 2013; 310(16): 1711- 1720 )に掲載された論文です。

論文の著者等は、1946年から発表された複数の論文をまとめて、メタアナリシスという手法で検討しています。6735人の男女(平均年齢 67歳、女性が51.3%、36.2%に心疾患の既往)を平均7.9か月フォローした結果です。それによると、心血管系疾患の発症が、インフルエンザワクチンを接種した人たちの方が接種しなかった人たちより少ない(2.9% vs 4.7%、相対危険度0.64)というものでした。

インフルエンザワクチンは、特に基礎疾患のある人には推奨されていますが、このような研究結果はその根拠となるデータといえると思います。風邪は万病の元といいますが、インフルエンザを予防することは心臓病や脳卒中を予防することにつながります。

インフルエンザワクチンについては、残念ながら効果は100%ではなく、接種していてもインフルエンザにかかることはありますし、また、予防接種による副反応(発熱、局所の腫れ)などもあります。しかし、心血管系疾患にかかるということは入院を余儀なくされることを意味します。ワクチンを接種するメリット、デメリットをよく考えて、接種するかどうかを決めましょう。

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