糖尿病の治療には果物は制限すべきか

糖尿病の治療には食事療法が重要で、糖質や脂質を制限することが必要とされています。果物については、糖質も含まれますが、食物繊維、ビタミン、抗酸化物質も含まれ、体によいところもたくさんあります。

今回紹介する論文の主旨は、このような果物を制限した方が糖尿病の治療にはよいのか、という点です。

Nutrition Journal (2013, 12: 29) に発表されたものです。米国で行われた研究で、肥満と糖尿病のある63名の男女を対象に行いました。12週間にわたって栄養管理をするのですが、2つのグループに分けます。一つのグループは果物を一日に2つ以上食べる、もう一つのグループは果物を一日2つは食べない、というものです。総カロリーは同じように制限していました。12週たった時点で、いずれのグループの一も同じように体重が減り、ウエスト周径も低下していました。糖尿病の指標であるHbA1cについてはいずれのグループも同じように低下しましたが、むしろ、果物を多くとったグループの方がより低下していました。

従って、この著者等の研究によれば、果物は制限すればする程良いということではない、ということがいえるようです。ただ、果物を多くとればカロリーが上がってしまいますから、いくら食べてもよい、という意味ではないことは注意が必要です。

我が国では糖尿病患者さんの食事指導には食品交換表が使われています。糖質や脂質のとりすぎにならないよう、総カロリーがオーバーにならないように工夫がされています。その中で、果物については1単位まで、となっています。1単位というのは、バナナなら1本、リンゴなら4分の3個、柿なら1個、みかんなら3個くらいに相当します。もともと米国の食事指導と比べると果物は少な目になっていました。欧米人との体格の違いもありますから、簡単には言えませんが、総カロリーが増えない範囲であれば、果物はもう少しとってもいいのかもしれません。今後の研究が必要なところだと思いますが、多種類の果物を適量とることで、果物のよいところも引き出されて、よい結果につながるだろうと思います。

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