グルコサミン、コンドロイチンの変形性関節症に対する効果

変形性関節症は、軟骨が変性してしまうために薄くなり、関節の痛みや腫れの原因となる疾患です。膝や指の第一関節、股関節などによく起こります。比較的高齢者に多いため、老化現象ととらえられがちですが、老化ばかりが原因ではなく、まだ解明されていない点も多く残されています。治療は、痛みを抑えるための薬物治療や関節液がたまってしまった場合には関節液を抜いたり、人工関節に置き換える手術が行われたりします。今のところ根本原因がわかっていないため、治療も根本治療とはいえず、患者さん個々の状態に応じた治療を考えていく必要があります。そのような中、患者さんとしては、市販されているサプリメントなどに興味を持たれるのは無理もないことです。変形性関節症に対して効果が期待されているサプリメントとしては、グルコサミン、コンドロイチンなどがあります。しかし、その効果については賛否両論のデータがあり、実際のところどうなのかはっきりしていません。今回紹介する論文は、これまで報告された様々なデータをひとまとめにして検討し、その効果を判定しようというものです。

British Medical Journal誌の2010年9月16日号に発表されたものです。論文の著者らは、発表された多くの論文のうち、グルコサミンの投与量は一日1500mg未満、コンドロイチンの投与量は一日800mg以下のものは除いています。グルコサミンとコンドロイチンを比較したもの、グルコサミンとコンドロイチンの併用とプラセボ(見た目は同じでも薬効の全くないもの)の比較をしたもの、グルコサミンとプラセボを比較したもの、コンドロイチンとプラセボを比較したもの、の組み合わせで、いずれも100例以上で検討したものを比較しています。10の研究論文がそれに該当し、症例数は3,803例になりました。10の研究論文のうち、8つは膝、1つは股関節、1つは両方の関節の変形性関節症について検討したものでした。
結果は、グルコサミンはプラセボに比べて、痛みに対して多少効果があるようだが臨床的に意味があるほどの違いはない。同様にコンドロイチン単独、あるいはコンドロイチンとグルコサミン併用はプラセボと比較して痛みに対しては効果があるとはいえない、という結果でした。
平均するとこのようになったということですから、全然効かなかった人もいれば、よく効いた人もいて、全体の平均をとるとそうだったということですので、効く人もいる、ということは言えるのかもしれませんが、これから投与する人に対して、これは効きますよ、とは説明することはできないでしょう。
また、変形性関節症の病態である軟骨が薄くなってしまったことに対する効果、つまり、軟骨が再生するかどうかをレントゲンで比較した論文もありますが、これに対しては効果はないという結果だったようです。
一方、副作用も報告されており、主に、吐き気、腹部膨満感など消化器系への副作用が主ですが、中には継続できなくなるほどの場合もあるようです。
この論文では、これまでに発表された多くの論文をひとまとめにして検討するという、手法がとられており、この方法にも多少問題はあるようで、たとえば、投与期間が論文によってまちまちだったり、グルコサミンといっても、塩酸グルコサミンと硫酸グルコサミンをひとくくりにしてしまっていることなどいくつか問題点も指摘されています。これが決着というわけではないようです。効く場合もあるわけですから、主治医とよく相談して、投与量、投与期間など確認しながら治療を続けることが重要でしょう。

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