痛風・高尿酸血症について
健康診断での項目の一つでもある尿酸値について解説します。尿酸は体の中にたまってくるといろいろな合併症を起こします。関節内にもたまると結晶となり、炎症を起こします。よく起こる場所は足の親指の付け根の関節で、大変痛く、歩くこともできないほどになり、“痛風”と呼ばれています。
痛風患者さんでは血液中の尿酸値が高くなっており、尿酸を下げる治療が必要です。尿酸値を下げることにより痛風発作は起こりにくくなります。
また、血液中の尿酸が高いと、腎臓障害を来すこともわかってきました(Am J Nephrol 15: 31-37, 1995)。その腎機能障害は、高尿酸血症を治療することにより回復することも証明されています(Adv Exp Med Biol, 122A: 257-262, 1980)。
痛風や腎臓障害を起こさなくても、尿酸値が高い場合(無症候性高尿酸血症)も、将来的な合併症の予防のために治療の必要があります。では、尿酸値がいくつ以上だったら治療が必要なのでしょうか。その基準は、血液中の尿酸値が7mg/dl以上では以下に述べる食事療法などが必要で、8 mg/dl以上では薬物治療の必要があります。食事療法や、薬物療法などにより、尿酸値を6 mg/dl以下に下げることを目標とするとされています。
高尿酸血症の食事療法:
尿酸を増やさないためには、プリン体といわれる物質を多く含む食品の摂取を避けることが大切です。それは以下のような食品です。一回に食べる量で考えると肉に多く含まれます。
肉では特に、レバー、牛・豚の内臓に多く含まれます。
魚類ではでは、煮干し、かつお節、イワシのひもの、アジの干物、エビ、するめいか、かつお、たら、イワシ、ニジマス、まいわし、
豆では大豆にも比較的多く含まれます。
簡単にいうと、酒の肴になりそうなものはプリン体が多いと考えるのがいいでしょう。しかし、これらの食品は少しでも口にしてはいけないということではなく、大量にとることがよくないのです。
それ以上に大切なのは、
肥満の人では体重を落とすこと、
体重を落とすと多くの場合尿酸値も下がります
水分はを多めにとること、
水分の不足も尿酸値をあげ、痛風発作の原因となります
バランスよい食事を心がけること、
肉は少な目、野菜、果物をバランスよくとりダイエットに心がけましょう
などがあげられます。
また、アルコールは高尿酸血症にはよくありません。肝臓でのプリン体合成を促進したり、尿酸の排泄を阻害したりするためです。また、痛風の患者さんでは飲酒が発作を誘発することもあります。ですから、アルコールは程々にしておきましょう。日本酒なら1合程度、ビールなら中瓶1本程度までといわれています。
高尿酸血症の運動療法:
高尿酸血症の患者さんでは、体重を減らすために運動は大切です。しかし、一度に大量の汗をかくような激しい運動は、水分が失われて痛風発作の原因となりますし、また、関節への負担も痛風発作の原因となりますので注意が必要です。水分の補給をしながら軽く汗をかくような運動がよいでしょう。
高尿酸血症の薬物療法:
尿酸を尿中に排泄するのを促進する薬と、尿酸の合成を抑える薬とがあります。患者さんの状態に合わせて、薬を使い分けます。 また、痛風発作の時には発作予防の薬や、鎮痛剤が使われます。