HbA1cと平均血糖値の関係

糖尿病の患者さんでは、血糖値が高くなるのが特徴ですが、ー日中血糖値が高い訳ではなく、初期には食前の血糖値は正常で、食後だけ高くなるというパターンをとります。したがって、健診などで、空腹時の血糖値だけを測ると糖尿病は発見できないことがよくあります。その問題を克服するため、最近ではHbA1cが測定されます。これは赤血球に含まれるヘモグロビンにどのくらいブドウ糖が結合しているかを測定することによって、その患者さんの最近約1か月間の血糖値が高めだったか、低めだったかを推測することができるものです。HbA1cの値が5.8以上は糖尿病として扱います。しかし、最近ではHbA1cが正常でも糖尿病や糖尿病予備軍の人が多くいることがわかり、現在行われている特定健診ではHbA1cが5.2以上では指導が必要とされています。

さて、血糖値は食事をすると高くなり、時間がたつと下がってきます。糖尿病患者さんでは食後の血糖値が高くなり、結果として、平均血糖値が高いということになります。しかし、HbA1cと血糖値の関係がはっきりしないため、空腹時血糖値は正常でもHbA1cが高いから糖尿病ですと言れれてもピンとこないのが現実かもしれきせん。

今回紹介するのは、HbA1cと一日の平均血糖値がどのような関係になるかを調べたものです。Diabetes Care 2008年8月号(2008 Aug; 31: 1473- 1478)に発表されました。平均血糖値を算出するためにかなり厳密なデータを集めています。507名(86%は糖尿病患者さん、14%は健常者)を対象に検討しています。12週間にわたってデータを集めています。まず、一日288回の血糖測定を2日続けるということを4週ごとに12週間行い、さらに、毎週3日、7回の指先からの血糖測定を行いました。そして、12週目にHbA1cを測定し、一日平均血糖値とHbA1cの関係を算出しました。

それによると、HbA1cの1%ポイントは血糖値の29mg/dlに相当し、HbA1cと平均血糖値の関係は以下のようになったそうです。

HbA1c 平均血糖値
5 97
6 126
7 154
8 183
9 212
10 240
11 269
12 298

実際には、HbA1cの値をみて糖尿病のコントロールがよいか悪いか判断できますので、この換算はあまり意味はないかもしれません。ただ、患者さんにとってはあまりなじみのないHbA1cよりも血糖値で説明された方がわかりやすいという面はあるかと思いますので、この換算表の意味もそのあたりにあると思います。

ちなみに、糖尿病の合併症はHbA1cが6.5より高い状態が続くと起こりやすくなるといわれており、糖尿病のコントロールの目標として、「HbA1c6.5以下」という数字も挙げられています。

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