遺伝子組み替え食品とは

先日、スナック菓子に含まれるジャガイモに、安全性が確認されていない遺伝子組換え食品が使われていたことがわかり、そのスナック菓子が回収されるという事件がありました。今回は、遺伝子組換え食品について考えてみたいと思います。

2001年4月から遺伝子組換え食品の表示が義務づけられました。”遺伝子組換え食品”と聞くとその危険性ばかりが強調され、本来の利点が見えなくなってしまいます。といって、私自身も遺伝子組換え食品を平気で口にできるかというとちょっと不安です。

ここで、遺伝子組換え食品について私なりに調べたことを紹介したいと思います。

農作物はこれまで多くの品種改良が繰り返されてきました。この品種改良は、品質のよいものを選んで交配し、常に同じ高品質のものを量産しようというものでした。“あきたこまち”がコシヒカリと奥羽292号とから作られたのはよい例です。品種改良の交配では、目的とする遺伝子が常に受け継がれていくように遺伝子が操作されます。しかし、この遺伝子はもともとその作物の持っている遺伝子です。つまり、イネならイネの遺伝子の変化で作られるのです。ところが、遺伝子組換え食品というのは他の生物のよいところを、目的とする作物に導入しようというものです。遺伝子というのは植物の種類が違っても、また、動物と植物の間でも共通なのです。

これまでに作られた遺伝子組換え食品は、大きく分けて二通りあります。

一つは作る側にとって有利なものです。その代表は除草剤に強いダイズヤトウモロコシ病害虫に強いトウモロコシやジャガイモなどです。

もう一つはその作物の成分を変え、健康によい作物にしようというものです。その代表は日持ちのよいトマトオレイン酸高含有大豆などです。

前者は作る側にとって有利なわけですが、それだけでなく、コストダウンにつながり、小売り価格に反映されれば消費者にとっても有利といえるわけです。後者は、今後発展すれば病気の治療や健康維持のためによい成分を多く含んだ作物やアレルギーの原因となる成分をのぞいた作物などを作ることも可能と考えられます。

画期的な科学技術ということができると思います。

しかし、実際には難しい側面を持っています。それは、導入した遺伝子の産物以外のものがつくられる可能性が否定できないことや、もともとその作物が産生する物質の量が変化する可能性があるということです。具体的な例で言うと、ジャガイモはグリコアルカロイド系といわれる有害物質を含んでいます。しかしその量はごく微量のため、ジャガイモの通常の摂取量では健康に害を及ぼすことはないといわれています。ところが、ジャガイモに病害虫抵抗性の遺伝子を導入すると、このグリコアルカロイド系の物質の量が1.5〜2倍に増えるのです。これは導入した遺伝子が産生する物質ではありません。しかし2倍に増えてもまだ健康に害はない程度のごく微量といわれており、結果的には健康には害はないと考えられています。結果的には害がないと判断されたとしても、前述したような含有物質の量の変化は予想されたものではありませんでした。遺伝子組み換え技術の進歩と同じように有害物質の検出や、遺伝子組み換え食品の安全性を確認する技術も進歩しています。その点は安心してよいと思います。しかし、現代の科学で、農作物に含まれる有害物質についてすべて解明されているかというと決してそうではないと思います。そうすると、遺伝子組換え食品で、今はまだ知られていない有害物質の含有量が増えて健康に害を及ぼす可能性は否定しきれないことになります。しかし、未知の有害物質のことまで言いだしたら普通の農作物だって安全とは言い切れません。

何を信用したらよいのか、科学技術を信用するのか、自分の経験や自然であることを第一と考えるのか・・・遺伝子組み換え食品を受け入れられるかどうかは我々消費者の選択なのかもしれません。これからは食品の表示をよく見て考えましょう。

以下のホームページなどに最新の情報が公開されていますので参考にするのもよいでしょう。

厚生労働省の遺伝子組み換え食品Q&Aのページ

OECDのホームページ(英語)