アレルギー検査で検査されるカビについて

カビは、私たちの生活に深く関わる微生物です。その種類は多く、現在68000種類あるといわれています。有機物質の分解者として他の微生物の生存のバランスに関わっていますし、また、人類は、カビの発酵能力を利用して酒、ヨーグルト、納豆などの食品を作り出しました。さらに、抗生物質などの化学物質の生産にも重要な役割を演じています。一般の最近と異なり、病原性は弱いのですが、抵抗力の低下した人では体内に侵入して感染症の原因となることがあります。また、やっかいなことに、アレルギーの原因となることもあるのです。

一方、アレルギーの検査にはいろいろな方法がありますが、もっとも簡便で多用されるものは血液を調べるIgE RASTという方法でしょう。この方法では、血液中のアレルギー抗体であるIgEと個々のアレルギー物質(たとえばスギ花粉など)との反応を調べます。現在、種々の花粉、ダニ、ハウスダスト、食品などとの反応を調べることが可能です。その中で、カビも重要なアレルギー物質で、検査も可能です。しかし、結果を見てもどんなカビなのかわからないと対策にも困ります。ここでは、アレルギー検査で検査可能なカビについて解説します。

ペニシリウム(アオカビ)、クラドスポリウム(クロカビ)、アスペルギルス(コウジカビ)はいずれもパンなどにつくカビとして重要です。クラスドスポリウムは住宅の内外に認められます。アスペルギルスは味噌、醤油を作るのにも利用されます。アルテルナリアはプラスチックを好み、シャワーカーテン、ホースなどに発生するカビです。エアコンの内部に生育し、室内に広がり、喘息の原因として重要です。ヘルミントスポリウムは芝生に寄生するカビで芝生を枯れさせる原因となるカビです。また、人体に常在しているカビもあります。ピティロスポリウムは健常成人の皮膚に常在するカビです。カンジダは健康な人の口の中や腸の中の常在菌ですが、抵抗力の低下して人では体内に侵入し感染病巣を作ってしまうこともあります。

以上のようなカビが、患者さんのアレルギーの原因である可能性が調べられます。喘息の患者さんではアレルギー物質との接触を減らすことが重要です。実際にはカビを完全になくすことは困難ですが、減らすことによって症状を軽減することは可能です。たとえば、アレルギー検査をしたらアルテルナリアが陽性だった、というような場合、風呂やエアコンをきれいにすることが大切ということになります。カビの特徴を理解し、アレルギー検査の結果を治療に役立てて下さい。

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