花粉症対策について

今年もスギ花粉の季節が近づいて参りました。実は私自信も花粉症で、いろいろな工夫をしています。私見を交えて花粉症対策を解説します。

花粉症は、植物の花粉に対するアレルギーが原因で起こります。最も多いのがスギ花粉です。現在、国民の8人に一人、東京都民の5人に一人が花粉症ともいわれています。

スギ花粉症の症状は、スギ花粉の飛散する春に、目のかゆみ、充血などの結膜炎症状、鼻水、鼻づまりなどの鼻炎症状が現れます。症状の程度には個人差があり、また、その年の花粉飛散量にも影響されます。最近では1995年が大量飛散の年で、多くの方が花粉症に悩まされました。

花粉症対策は、まず、飛散してくる花粉にできるだけ接触しないようにする工夫と、アレルギー反応自体を抑える薬物療法となります。前者の具体策として、花粉の飛散予測を参考に、日常生活でスギ花粉を避ける工夫をすることになりますので、今年のスギ花粉の飛散予測と、花粉回避の方法について述べたいと思います。次に薬物療法を紹介します。

今年の花粉飛散予測

毎年のスギ花粉の飛散についてはある程度予測がたてられます。花粉の量は前の年の夏の天候に影響します。空梅雨で猛暑の場合は翌年の春のスギ花粉の飛散量は多くなります。スギ花粉の飛散開始時期は1月以降の気温に影響を受けます。暖冬では飛散開始が早まります。そういった予測を総合した結果、2001年の花粉飛散開始時期は関東地方で2月10日前後、飛散量は例年より多く、昨年に比べると少ない(2000年は花粉飛散量の多い年でした)と予測されています(2000年12月12日現在)(村山貢司、アレルギー免疫, 8, 166-172, 2001, Medical News, No366,11-12, 2001)。

さらに、最近ではインターネット上でスギ花粉の飛散状況を調べることができますし、テレビの天気予報でも花粉の量を予測して報道しています。また、スギ花粉症テレホンサービス(03-5272-1187、1月下旬から4月下旬の予定)などもありますので、それらの情報を参考にしましょう。

花粉症対策

さて、スギ花粉の飛散が始まったらどんな工夫が必要でしょう。ガイドラインを参考に解説しましょう。

花粉回避の方法(鼻アレルギー診療ガイド作成委員会:鼻アレルギー診療ガイドラインー通年性鼻炎と花粉症ー改訂3版1999より)

1 花粉情報に注意する
2 飛散の多いときは外出を避ける
3 飛散の多いときは窓、戸を閉めておく
4 飛散の多いときは外出時マスク、メガネを使う
5 表面がけばけばした毛織物などのコートの着用は避ける
6 外出から帰宅したら、洗顔、うがいをし、鼻をかむ

1 はインターネットやテレビの天気予報を参考にします。

2 は実際には難しいので3以下が大切です。

3 は室内に花粉が入るのを防ぐためです。

4 は花粉を完全にシャットアウトできるわけではありませんが、目や鼻に入る花粉の量を減らす効果はありますのでよい方法です。マスクの場合は鼻の脇から花粉が入ることがないようぴったりしたものを使いましょう。

5 はこのような衣服には花粉が付きやすく、大量の花粉を持ち歩くことになりますし、室内に運び込むことにもなります。

6 は大変重要です。洗眼といっても、疲れ目に使う刺激性の洗眼液は勧められません。すでに結膜炎を起こしている場合はかえって炎症を悪化させるおそれがあるからです。水で顔を洗い、そのときに水の中で目を開けて洗うようにするのがいいでしょう。

薬物療法について

薬物療法には、予防的に花粉飛散のシーズン中服用し、症状を抑えるもの、すでに起きている症状を抑えるものがあります。いずれも内服、点眼、点鼻があります。

予防治療は花粉飛散の2週間くらい前から始めるのがよく、花粉飛散の期間(5月の連休明けくらいまで)は服用を続けます。点眼、点鼻でも同様です。

症状を抑えるタイプのものは、それぞれの患者さんの重症度に応じて選択します。ステロイドの入ったものは大変効果がありますが副作用もありますので、指示を守って使いましょう。

スギ花粉に対するアレルギーがあるかどうかは血液検査でわかりますのでご心配な方は一度受けておかれるといいでしょう。

花粉症は命に関わる病気ではありませんが、症状が重いと集中力も落ちますし、時には睡眠も妨げられます。薬物治療にも良いものがありますのでご相談下さい。有効な対策をとって花粉飛散のシーズンを乗り切りましょう。