レントゲン、CT、超音波、MRIなどの検査について

時々患者さんから検査についての不安を聞くことがあります。何か重大な病気が見つかるんじゃないかという不安に加え、検査自体が体に害があるんじゃないかと心配されるようです。ごもっともなことだと思います。病院で受ける検査にはいろいろあります。代表的な検査であるレントゲン、CT、超音波、MRIについて、どんな検査なのか、危険はないのか、検査にあたって注意することは?など解説します。

レントゲン

レントゲンは放射線が物質を透過するときに、物質によって減弱する程度が異なる性質を利用して、体内の形態を調べようというものです。たとえば、骨や石は白く、空気は黒く映り、脂肪、筋肉などはその中間の濃さとなって、影絵のように映ります。

胸のレントゲンでは放射線を体に透過させ、直接フィルムに投影します。胃のレントゲンでは、バリウムを使い、胃の中のバリウムの形態から内臓の形態を観察しようとするものです。

放射線を使いますので胎児には影響が出る可能性があります。胃のレントゲンでは画像を確認しながら撮影しますので胸のレントゲンに比べ、使用する放射線の量も多くなります。妊娠中の女性、妊娠の可能性のある女性は必ず申し出て、他の検査方法を検討してもらいましょう。

CT

CTは、放射線を用いて、画像をコンピューター処理することにより身体の断面像を得ることができます。脳の検査として非常に有用です。 脳、肺、腹部臓器、骨盤内臓器の観察に使われる。動いているものの観察には向きません。

CT検査では、検査台の上に寝て、筒型の機械の中に入って検査を受けます。頭は固定されます。撮影の時には息も止める必要があります。検査室の技師さんの指示に従ってください。

CTではレントゲンより多くの放射線が使われます。レントゲンの同様、妊娠中の女性、妊娠の可能性のある女性は必ず申し出て、他の検査方法を検討してもらいましょう。

超音波(エコー)検査

超音波検査はエコー検査とも呼ばれますが、放射線は使わず、超音波を使って内臓の形態を観察することができます。ただし、空気、骨、脂肪、筋肉などでは超音波は減弱してしまうので、肺や脳の観察には向きません。また、皮下脂肪や筋肉の厚い人では内蔵の観察が難しいことがあります。腹部臓器、特に肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓、膀胱、子宮など、胸部では心臓、乳房などの観察に向いています。動いているものはリアルタイムで表示できるので心臓の観察や、子宮内の胎児の観察には威力を発揮します。頸動脈、甲状腺などの観察にも使われます。

超音波は特に人体への影響はありません。

MRI

磁気共鳴現象を用いたもので、物質によって異なる共鳴周波数の違いを画像として表すものです。脳の観察にはもっとも有効。基本的には動いているものは映すことができませんが、逆にその性質を利用して、血液の流れを画像にすることができるので、血管造影に近い画像を得ることができます。脳の血管を映すMRAは脳動脈瘤などの血管病変の発見に役立ちます。また、胆管、膵管を映すMRCPは、従来行われていた逆行性胆管膵管造影が苦痛を伴う検査だっただけにその恩恵は大きいと考えられます。

CTと同じような断面像に加え、縦断像なども得られます。

MRI検査の時は、CTと同じように検査台の上に寝て、筒型の機械の中に入って検査を受けます。頭は固定されます。撮影の時には息も止める必要があります。検査には時間がかかります。だいたい30分くらいかかます。狭い検査室に閉じこめられたような感じで不安になるかもしれませんが操作室からは患者さんの様子を見ていますし、万一具合が悪くなったときに係の者を呼ぶボタンもありますので心配しないでください。

磁場の人体に及ぼす影響はほとんどないといわれています。しかし、妊娠初期の胎児に対する影響は皆無とはいえないため、この時期のMRIは控えた方がよいとされています。ペースメーカーは磁気により誤作動を起こすのでペースメーカーをつけている患者さんはMRIを受けることはできません。金属を身につけて検査を受けることはできませんし、また、体内に埋め込まれた金属、動脈瘤クリップ、人工関節などがある場合も検査はできません。また、撮影時間が長く、検査中機械から大きな音がする点が欠点です。

食事をしてはいけない理由

検査に際して食事をしないように指示されることが多いと思います。その理由は(1)胃に食べ物が入っていると画像に影響することがある、(2)食事をすると胆嚢が収縮してしまい胆嚢の観察ができない、(3)検査によっては造影剤を使うことがあり、造影剤が体質に合わないと気分が悪くなり嘔吐してしまうことがある、などの理由によります。指示に従ってください。

当院ではレントゲン、腹部超音波検査は行っています。CTやMRI検査が必要なときは大きな病院にお願いしています。

このように検査には一長一短があります。実際にはいくつかの検査を組み合わせて行う必要もあります。検査について、目的を知りたいときや不安なときは遠慮なく主治医に尋ねるのがいいでしょう。

ホームへ