基本検診の結果の見方
標準体重・肥満度
標準体重の計算方法には二通りあります。
@身長(cm)-100に0.9をかける
A身長(m)x 身長(m)x22または21
男性では22、女性では21。身長の単位がメートルになっていることに注意して下さい。
例:身長165 cmの方の場合、
@の計算方法では:(165-100)x0.9=58.5 kg
Aの計算方法では女性か男性かで変わります。
女性の場合:1.65 x 1.65 x 21= 57.1 kg
男性の場合:1.65 x 1.65 x 22 = 59.8 kg
となります。
ですから、計算方法によって肥満か、肥満でないかとなってしまう可能性もあり、混乱のもとになります。最近ではAの方法が良く用いられるようになりました。
肥満度が+20%以上では肥満となります。糖尿病、高血圧、高脂血症などいわゆる生活習慣病に分類される疾患を併発する危険が高いので、注意しましょう。食事、運動を見直してみて下さい。
血圧
血圧には上と下がありますが、どちらも重要です。上が140以上、下が90以上にどちらか一方でもなっていると高血圧に分類されます。病院では血圧が上がってしまうという方もおられるでしょう。最近では家庭用の血圧計もありますので、自宅でリラックスした状態での血圧も是非測ってみて下さい。家でも高いようでしたら早めの治療が必要です。高血圧には食事療法、運動療法が大切で、さらには薬物療法も必要になってきます。すでに高血圧の治療を受けている方でしたら、治療の効果を確かめるのによい機会でしょう。
今年7月8日の日本高血圧学会で高血圧治療のガイドラインが発表されました。これによると、血圧低下の目標値は、若年・中年、糖尿病患者では130/85以下、60歳代は140/90以下、70歳代は150〜160/90以下、80歳代は160〜170/90以下となりました。
尿検査
尿糖が陽性、または+という結果の場合、糖尿病の可能性があります。糖尿病でなくても尿糖が陽性となる場合もありますので、詳しい検査を受けて下さい。
尿蛋白が陽性または+の場合、腎臓が障害されている可能性があります。それ以外には膀胱炎や腎盂炎などの感染症の可能性もありますので、詳しい検査が必要です。
白血球数 |
4000〜8500 |
正常より多い場合:風邪、気管支炎、腸炎などの炎症のある場合。極端に多い場合は血液疾患の可能性もあります。
正常より少ない場合:もともと少な目の場合は心配ありません。膠原病、ウイルス感染症、薬の影響などが考えられます。 |
赤血球数
血色素
ヘマトクリット |
男410〜530、女380〜480
男14〜18、女12〜16
男39〜52、女35〜48 |
正常より多い場合:多血症という病気の場合もありますが、あまり心配はいりません
正常より少ない場合:いわゆる貧血です。最も多いのは鉄欠乏性貧血です。女性では生理の量が多い、不正出血があるなどの場合におこります。慢性的な出血(胃潰瘍など)があっても貧血になりますのでさらに詳しい検査を受けましょう。 |
肝機能:
GOT
GPT
ZTT
γGTP |
8〜40
5〜35
2.0〜12.0
59以下 |
正常値より高い場合:肝炎、アルコール性肝障害、肝硬変、肝癌、胆石、脂肪肝などが考えられます。治療法が異なりますのでさらに詳しい検査を受けましょう。まず超音波検査を行うことが多いです。ZTTだけ高い場合、膠原病、血液疾患の可能性もあります。アルコール性肝障害、脂肪肝ではγGTPが高いのが特徴です。飲酒量の多い場合は減らしましょう。
正常値より低い場合:病的なものではないので心配ありません。 |
総コレステロール
HDLコレステロール
中性脂肪 |
150〜199(50歳以上女性では150〜219)
男40〜60、女45〜65
50〜149 |
正常値より高い場合:総コレステロール、中性脂肪が正常値より高い場合はいわゆる高脂血症です。高血圧、糖尿病もある方の場合は特に厳重な治療が必要となります。HDLコレステロールは善玉コレステロールともいわれ、高い場合は心配ありません。
正常値より低い場合:総コレステロール、中性脂肪が低い場合は心配ありません。HDLコレステロールが低い場合は相対的に悪玉コレステロールが高いことになりますので、食事療法、運動療法が大切です。 |
血糖・HbA1c |
食前血糖 110以下
食後血糖 140以下
HbA1c 5.8未満 |
正常値より高い場合:糖尿病の可能性があります。血糖値は食後に上がりますので、検診では空腹時血糖を測ることになっています。HbA1cは約1ヶ月間の血糖値を反映します。これが正常値なら1ヶ月間は血糖値がほぼ正常だったことになります。空腹時の血糖値が正常でHbA1cが高い場合は食後に血糖値が高い可能性があり、これのやはり糖尿病になります。糖尿病の患者さんではHbA1cが6.5%以下であれば合併症も少なくなるといわれていますのでそれを目標にして下さい。
正常値より低い場合:病的なものではないので心配ありません。 |
腎機能:
尿素窒素
クレアチニン
尿酸 |
8〜23
男0.8〜1.2、女0.6〜1.0
男3.5〜7.9、女2.6〜6.0 |
正常値より高い場合:腎臓障害の可能性があります。特にクレアチニンが高い場合は腎臓が悪い可能性があります。クレアチニンが正常で尿素窒素が高い場合、胃潰瘍などの消化管出血の可能性もあります。尿酸が高い場合、痛風の可能性があります。尿酸値が8を超えると痛風発作を起こす危険ゾーンです。痛風の治療中の方の場合、尿酸値が低くても発作を起こす可能性はありますので注意して下さい。
正常より低い場合:病的なものではないので心配ありません。 |
心電図
異常なし、正常範囲となっていれば心配いりません。横文字でWNL、np、OBなどと書いてあるかもしれません。それも異常なしと同じ意味です。また、心電図所見としては異常所見があっても、心臓の働きには問題のないものもあります。たとえば、右脚ブロック、(反)時計軸回転などです。かかりつけの先生によく確認して下さい。
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