高山病について

最近は中高年の方の登山がブームとなっています。順天堂大学山岳部では毎年、燕岳の夏山診療所を開いており、私も二度ほど同行させていただいたことがあります。そのとき何人かの高山病の方を診察しました。高山病の予防について簡単に説明しておきましょう。

高山病は標高2500m以上の高地に急速に到達した場合におこります。高ければ高いほど、高地までの所要時間が短ければ短いほどおこりやすくなります。安静と適切な治療で大部分の人は軽快しますが、まれに重症となり、高地肺水腫という状態となった場合は命に関わる事態となります。

<症状>高地に到達して8〜48時間後に発病します。必ず頭痛を伴い、食欲不振、吐き気、嘔吐などの消化器症状、倦怠感、睡眠障害、めまい、ふらつきなどがみられます。重症化すると咳、痰、息切れ、喘鳴(呼吸の時にゼーゼーいう状態)が伴うようになります。

<治療>まず、初期症状を捉えることが大切です。倦怠感、呼吸困難が出現し、歩行速度が遅くなったら要注意です。軽症ならば安静、鎮痛剤の投与、酸素吸入によって軽快します。高地肺水腫の疑いがある場合はできるだけ早く低地に移送することが必要です。

予防が大切

予防の第一は、睡眠を十分とり、体調を整えておくことです。次に時間をかけて登ることです。

新宿発の夜行列車に乗って、早朝から北アルプスに登るというような場合は睡眠不足になりがちです。私が診察した方はたいていこのパターンでした。前日には登山口近くの宿に泊まって無理のないスケジュールで登りたいものです。

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