薬はどうして食後に飲むの?
多くの薬は、食後に服用することになっています。また、一日3回のものもあれば、一日2回、朝、夕のもの、一日1回朝だけのものなどがあります。
どうして食後に飲むのでしょうか。また、どうして1回のものから3回のものまであるのでしょうか。
食後に飲むわけ
まず第一に、のみ忘れを避けることが挙げられます。たいていの方は一日3回の食事は必ずしますから、それに合わせて服用し、のみ忘れのないようにすることが目的の一つです。
次に大切なのは、胃の中が空っぽの状態で薬を服用すると、胃の粘膜と薬が直接接触して胃が荒れる原因となります。ですから多くの薬は食後に服用します。もちろん、食前の薬の場合はそのようなことはありません。
また、薬はコップ一杯の水で飲むことも大切です。水なしで飲んだり、ひとくちだけの水で飲むと食道に薬が引っかかって、食道炎の原因になったり、薬の効果が出なかったりします。
一日1回、2回、3回の違い
たとえば、同じ血圧の薬でも一日1回でよいものもあれば、3回飲む必要のあるものまで様々です。この違いはなぜかというと、薬の有効時間の差によるのです。そして、それは薬の代謝、分解の早さによるのです。薬は腸から吸収されると血液中を流れ、薬の作用が出始めます。薬がそのまま血液中に残っていると薬は作用し続けることになります。しかし、薬は腎臓から尿中に排泄されたり、肝臓で分解されたりしてその作用が消えていきます。血液中に残っている時間がその薬の有効時間ということになりますから、腎臓や肝臓での代謝、分解、排泄の早さでその薬の有効時間が決まります。有効時間の短いものは一日3回の服用が必要ですが、長いものは一日1回の服用ですみます。一日1回のものであれば飲み忘れが少なくなりますし、勤務先で薬を飲まなくてもいいなどの利点がありますが、一方、その薬は体に長く残っていることになりますので、腎機能や肝機能の低下した患者さんには適しません。
患者さんの体の状態や生活習慣に合わせて薬を選択することが大切だと考えておりますので、ご質問、ご希望などがあれば遠慮なくご相談下さい。