長期間にわたる体重増加と食事と生活習慣

ダイエットには食事と運動などの生活習慣を変えることが必要です。短期間の研究ではこれらに効果があることは示されています。しかし、長期間にわたって同様に効果があるかというと、まだ十分なデータは示されていませんでした。今回紹介する論文は、4年間という比較的長期間にわたり観察した調査の結果をまとめたものです。この中で、体重増加に関係する要素がいくつか示されています。

New England Journal of Medicine 2011623日号(2011; 364: 2392- 2404)に掲載された論文です。

米国で行われた調査で、基礎疾患のない、肥満ではない120, 877 人を対象に、1986年〜 2006年、 1992年〜2003年、 1986年〜2006年と10年間フォローした3つのグループを解析したものです。いずれのグループも4年ごとに体重と生活習慣を調査しています。その結果、それぞれの4年間において、体重は平均1.51kg(原文はポンドで表記されていましたがkgに換算しました)増加していました。食事、生活習慣と体重との関係を統計的に解析すると以下のようになったそうです。食事についてはそれらを多くとっていた場合を多くとっていない場合と比較しての体重の変化、生活習慣についてはそれらを行っていた場合と行っていない場合を比較しての体重の変化を表します。

(この表は、たとえば、ポテトチップをたくさん食べている人は、食べていな人に比べ、4年間で平均0.76kg体重が増える傾向があった。反対に、運動をする人は、しない人に比べて4年間で平均0.79kg体重が減る傾向があった。と読みます。)

 ポテトチップ  +0.76kg
 ポテト  +0.56kg
 砂糖入り飲料  +0.45kg
 加工していない赤肉  +0.43kg
 加工した肉 +0.42kg
 野菜  -0.10kg
 全粒の穀物 -0.17kg
 果物  -0.22kg
 ナッツ  -0.26kg
 ヨーグルト  -0.37kg
 運動  -0.79kg
 アルコール  +0.18kg(一日1杯あたり)
 タバコ  +2.33kg(初めて禁煙した場合)
   +0.06kg(過去に吸っていた場合)
 睡眠(6時間未満または8時間以上)  体重増加の傾向  
 テレビ   +0.14kg(一日1時間視聴あたり)

これらの生活習慣が、それぞれ独立して体重の変化に関係しているという結果でした。このようなデータをふまえて、肥満の予防に役立てていきたいものです。

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