地中海食の健康へのメリット

地中海地方に住む人々の食事が、多くの慢性疾患に予防的な効果があることは以前から指摘されていました。今回、そのような疫学調査を総合的に検討し、地中海食と死亡率、慢性疾患り患率などに及ぼす影響を調べた結果が発表されました。

British Medical Journalの速報版に発表されました( 2008; 337:a1344doi: 10. 1136/ bmj.a1344)。

地中海食というのは、地中海地方の人々が好んで食べている食事で、その特徴は、野菜、果物、豆類、シリアル、魚を多くとりいれ、適量の赤ワインを食事とともに飲むというものです。乳製品や赤肉(牛肉、羊肉)、加工肉は極力減らし、オリーブオイルをたくさん使うことも特徴です。このような食事をしている人は、それとは相反するような食事をしている人に比べて、心血管系疾患や慢性疾患になりにくいという報告がされていました。今回紹介する論文では、1966年から2008年までに行われた、12の研究をまとめて検討(メタアナリシスという手法を用いています)したものです。1,574,299人が研究対象となり、平均18年間のフォローがされたことになります。食事内容をどれだけ地中海食に近いかを分析し、すべての原因による死亡率、心血管系疾患による死亡率、がんり患率、がん死亡率、パーキンソン病、アルツハイマー病り患率などとの相関を検討しました。

その結果、地中海食を食べている人の方が、総死亡は9%、がんり患およびがん死亡率は6%、パーキンソン病、アルツハイマー病は13%、それぞれ低いことがわかりました。この数字は、予防医学の観点からは、ある食事の健康への効果としてはかなり高い数字といえるそうです。

日本食は地中海食と近いところもあります。蛋白源として牛肉などではなく、魚や大豆製品をとり、野菜、穀類を多くとるような食事は、オリ一ブオイルが少ない点を除けば地中海食に近く、塩分のとりすぎに気をつければ同様の効果も期待できるのかもしれません。

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