有名ミュージシャンの早すぎる死についての統計調査

今年、女性シンガーソングライターのAmy Winenouseさんが27歳の若さで亡くなりました。イギリスでは有名ミュージシャンが若くして天に召された年齢が27歳であることが多く、「27 club」という表現があるそうです。ミュージシャンが27歳になると行ってしまうクラブということのようです。ちなみに日本でも尾崎豊さんは26歳で亡くなっています。

今回紹介するのは、それが本当かどうか、つまり、有名ミュージシャンで27歳でなくなる人が統計的多いのかどうかを調査した論文です。British Medical Journal 201112月号に掲載されたものです。

1956年〜2007年までにイギリスでトップアルバムとなった曲を持つソロアーチストとバンドメンバーを対象とし、後ろ向き研究を行っています。1046人のミュージシャンが含まれ、そのうち71人はすでに亡くなっていました。そのうち、実際に27歳で亡くなっていたのは3人でした。同様に25歳、32歳で亡くなった方もいました。統計的には27歳で亡くなったミュージシャンが有意に多かったというわけではないということです。しかし、20代から30代で亡くなった人は、一般人口に比べると多い傾向にはあった、ということです。

この「27 club」というのはミュージシャンがその年齢で亡くなることが多いようだということから言われるようになったわけですが、その要因として様々な仮説があり、過剰な飲酒、向精神薬の多用が関係あるのではないかとか、20代前半に人気のピークを迎え、数年後にあたる27歳頃に疲労が出てしまうのではないかとか、あるいは単なる人々の思いこみではないか、などの意見があるようです。しかし、今回の調査の結果を見る限り、どうやら、人々の思いこみが大きいようです。ただ、論文の著者らも指摘しているように、27 clubには、ナンバーワンヒットはなかったけれど人気のあったミュージシャンや、今回の調査期間以前に亡くなったミュージシャンで、27歳で亡くなった人が4人います。この7人を「27club メンバー」というのだそうです(http://en.wikipedia.org/wiki/Club_27)。統計的に調べるとなると、人気のある、といった曖昧な定義ではなく、ナンバーワンになったことがある、といった基準で調べなければならないため、今回のような調査方法になってしまいます。

7歳というピンポイントの年齢ではないものの、20代、30代で亡くなるケースが多いことは統計的に示されました。論文の最後に著者らも述べているように、いい音楽は多くの人を幸せにしたり、勇気を与えたりします。そのような音楽を作るミュージシャンは貴重な存在であり、出来るだけ長く活動を続けてほしいと思います。今年の東日本大震災のあとも、音楽が人々の心を癒したり、元気づけてくれたりした場面がたくさんあったと思います。いい音楽を残して若くしてこの世を去ったミュージシャンたちの冥福を祈りたいと思います。

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