ホームヘルパー養成研修 難病の基礎知識 I

朝霞保健所 2008年10月30日(木)

介護福祉士、ホームヘルパーの方を対象とした研修で講義をさせて頂きました。私が担当したのは「難病の基礎知識 I 」という項目で、特に膠原病を中心にお話しさせて頂きました。


難病患者さんの介護の特徴

膠原病とは

膠原病に含まれる病気

膠原病の症状の特徴

関節リウマチの症状

強皮症の症状

全身性エリテマトーデスの症状

皮膚筋炎/多発性筋炎の症状

膠原病の経過

患者さんの声

  • リウマチは人生を変えてしまう程の病気だと思います。(27歳、女性)
  • ー日として痛みのない日はありません。いつも重い大きな石を背負っているようです。(54歳、女性)
  • 不自由は慣れるけど、毎日毎日の痛みは人間性まで変えてしまいます。寿命は縮んでも痛みのない日を送りたい。笑顔は消えました。(57歳、女性)
  • 「ありがとう、すみません、申し訳ない」、この言葉を日に何回も言わなければならない自分に腹が立ち、もう嫌です。(73歳、女性)
  • 自分が痛くて辛いので人に優しくなれない。性格が悪くなりそうです。感謝しながら毎日暮らしてはいるが、無理解、無神経な人も多く、参ってしまう事がある。仕事、家族、おしゃれなど、大切なものを根こそぎ奪わわていきました。(36歳、女性)
  • 頑張っても不可能な事と少し頑張ることで機能を維持できることがありますから、つねに精神的なバランスが難しい。痛みが強いときとそうでないときの精神状態も大きく違う。・・・(60歳、女性)
  • ケアマネージャーに思う
    • 精神的に傷つけられた。
    • 頼めば来る。威張っている。
    • 利用者の性格なども分かって欲しい。
    • 良い人だと思うが勉強不足。
  • へルパーに思う
    • 40代からへルパ一さんに助けてもらっています。へルパーさんは同世代の方が多く、リウマチを「気の病」と誤解している元気な人が多いのには困ります。(50歳、女性)
    • へルパーさんとお話をするが、リウマチの事を理解する人は殆どいないと言ってよい。(59歳、女性)
    • 毎日代わるので疲れる。
    • へルパー同士の連絡が悪い。
    • 我が家のやり方に慣れたころ、人が代わってしまう。(63歳、女性)
    • 別の訪問先の悪ロを言う。
  • したいと思うこと
    • 自分の身体を自分で洗いたい。(57歳、女性)
    • 買い物をしたり、花を見たり、映画を観たり、ふつうのことがしたい。(59歳、女性)
    • 思いっきり走りたい。ホノルルマラソンを走るのが夢でした。(58歳、女性)
    • お寿司を箸で壊さないで品よく食べてみたい。(60歳、女性)
  • 薬を飲んでいるにもかかわらず、どんどん変形(手足の指)が進んでいき、自分でできないことが増えていくのが辛い。この先年をとっていったときどうなるのだろう。(53歳、女性)
  • 一見元気そうに見えるので、怠けているように思われるのが辛い。分かっていても痛みや変形や副作用が出るたびに辛くなります。終わりのない通院も、分かっていても病状が進むと、先生の力不足ではないかと思ったり、その気持ちは何となく伝わり、信頼関係が保てなくなったりすると、トンネルの中に入ったような気になります。(55歳、女性)
  • 不安といえば不安、辛いといえば辛いのですが、楽天的に考え、家族やヘルパーさんに支えられて暮らしております。
  • ピアカウンセリングについて学んでみようと思っています。(41歳、女性)『流』(日本リウマチ友の会の情報誌)のおかげで資格をとりました(40歳、女性)
  • 身障者採用で就職でき、30歳過ぎてからの人生は良い方向に向かった
  • MCTDと付き合って12年になります。外見は健常者と変わりないのですが、少し歩くと咳が止まらないので困ります。一番乗り会社である夫とお花見に行ったり札所巡りをして楽しんでいます。
  • 在宅での仕事は、睡眠、休養のやりくりを可能にしてくれます。また、仕事の合間にヨーガと筋トレに励んでいます。
  • 友の会に入会し本当に心強い一日が始まっています。いろんなことで悩んでいる時、人との出会いが解決してくれました。

2005年、リウマチ白書、埼玉県膠原病友の会機関誌より


膠原病患者さんの在宅介護における留意点

疼痛に対する理解

関節リウマチの場合

手関節、指関節の痛みのために困ること

肩関節痛のために困ること

膝関節痛のために困ること

股関節痛のために困ること

足関節痛のために困ること

強皮症の場合

全般的に

乾燥症状

感染予防

じょくそう

不安、うつ

服薬

家族の関わり

まとめ

<質疑応答>

Q:リウマチの新しいいい薬ができたと聞きました。若い人に使うと治ると聞きました。私が担当している方は発病して20年以上で年齢も若くはないのですが、そういう薬は使えるのでしょうか?

A:いわゆる生物学的製剤のことだと思いますが、確かに、発症早期の方に使うと、治療の必要がなくなるくらいよく効くことがあることが報告されています。もちろん、発病してからの経過が長い人でもその薬の適応はありますし、よく効く場合もあり、痛みから解放されて喜んでいる方も多くいらっしゃいます。ただ、確かに、高齢者では内臓の合併症などをお持ちのケースが多く、副作用の面でちょっと心配はありますが、経過が長いとか高齢だというだけで使えないわけではありません。

Q:今、脊髄小脳変性症の方を受け持っています。徐々に歩行障害などが出てきていて、介護ベッドやポータブルトイレの使用を進めていますが、受け入れようとしません。自分で起きあがることもできないので、ヘルパーたちも音を上げています。先生からも本人にそうするよう説明して頂いたのですが、受け入れてくれません。何かいい方法はないでしょうか?

A:なかなか難しいケースだと思います。ある意味では前向きな部分もあるのですから、頭から「もう歩くことはできないんだから」と言ってしまうのは可哀想でしょう。ヘルパーや家族のために受け入れて欲しい、とこちらからお願いするようなアプローチの仕方もあるかもしれません(すでに行ったとのこと)。それから、私の経験した同じようなケースでは、家族があまりその方に関わろうとしなくて、ヘルパーさん任せにしていたケースがあり、家族の関わり方に原因の一部があったケースがありました。やはり、患者さんとしては、徐々に病気が進行して、歩いたり起きたりする自由が効かなくなってきて、孤独や絶望の縁にいらっしゃるわけです。患者さんと一緒に悩んだり、苦しんだりする姿勢を家族が示さないと、患者さんとしてはそんな風にして自己主張したくなるのかもしれません。「私と一緒に苦しんでよ」というメッセージなのかもしれません。それまでのその人と家族との関わり方とも関係することなのではないかと思いますので、簡単に答えは出せませんね。あとは時間が解決してくれることを根気よく待つことでしょうか。いい答えができなくてすみません。

<使用テキスト>

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