夜間の運転に対するコーヒー、うたた寝の効果

交通事故の多くが眠気と関係していることが知られています。全交通事故の20%が眠気と関係しているという統計もあるそうです。また、午前2時から5時の間に、普段の5.6倍の事故が起きているという統計もあるそうです。

夜間の運転中、眠くなった場合、ちょっとひと休みするのがいいわけですが、コーヒーやうたた寝の効果を科学的に分析した研究結果が発表されました。Annals of Internal Medicine 2006年6月号(Volume 144, p 785-791, 2006)に掲載されました。

フランスの研究で、20〜25歳の男性(プロの運転手ではない、年間1万〜2万kmという一般的な走行距離の人です)12名を対象に行っています。方法は、まず夕方6時から7時30分の間に運転をしてもらいそれを日中の運転の基準とします。次に、夜2時から3時30分の間に運転をしてもらいました。その運転の前、1時30分にコーヒーを飲む(125mlで、カフェイン200mgを含む)、同じくカフェイン抜きのコーヒーを飲む(125mlで、カフェイン15mg)、1時〜1時30分の30分間のうたた寝をするという3通りの方法で効果を比較しました。

本人の眠気の感じ方と、蛇行運転の程度を比較しました。蛇行運転は車線の両側のラインを越えることが何回あったかを数えて評価しました。運転は、高速道路で、時速130kmで走行し、ビデオカメラで撮影を行いました。

結果は、眠気に関しては、カフェイン抜きのコーヒーに比べ、コーヒーを飲んだ場合、うたた寝をした場合ともいずれも眠気が少なかったことが示されています。そして、蛇行運転で見る運転の正確さは、普段の運転に比べ、コーヒーを飲んだ場合は75%、うたた寝をした場合は66%にそれぞれ低下しましたが、なんと、カフェイン抜きのコーヒーの場合は13%にまで低下したことが示されました。

つまり、カフェインの入ったコーヒーも、うたた寝も、夜間運転の眠気と事故の予防に効果があることが示されました。

眠くなったらひと休みして寝るか、コーヒーを一杯飲むのがいいのですね。ただし、この研究では、コーヒーを飲み終わってから、あるいは、うたた寝から醒めてから、30分後に運転を始めていることは大事なポイントです。以前、NHKの番組で、夜間運転で、ひと眠りしてから事故を起こしているケースを調べた番組を見たことがあります。それによると、確か、うたた寝から醒めてすぐに運転するのはかえって危険、という内容だったように思います。

論文の著者らも述べていますが、カフェインとうたた寝を組み合わせた場合や、コーヒーの量を変えた場合はどうなのかといった検討はされていません。そのような検討がされればより確かなことが言えますが、現実的には、サービスエリアでひと眠りして、車を降りて外をちょっと歩いて、コーヒーを一杯飲んで、軽くストレッチ体操などをしてから運転を再開するのがいいのではないでしょうか。

私も運転すると眠くなることがあります。私の経験では、満腹であることも眠気を引き起こす重要な要素だと思います。

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