オリーブオイルのポリフェノールの効果

抗酸化物質といわれるポリフェノールが体によいことはよく知られています。がんや動脈硬化の予防にも効果があると考えられています。また、地中海食といわれる食事が体によいことも指摘されています。地中海食はオリーブオイルをふんだんに使った食品が中心で、オリーブオイルの効果が大きいと考えられています。オリーブオイルは、オレイン酸という不飽和脂肪酸であり、また、ポリフェノールも多く含んでいます。

今回、発表された論文は、オリーブオイルの効果は、不飽和脂肪酸だからなのか、それとも、オリーブオイルに含まれるポリフェノールによるものなのかを検討したものです。Annals of Internal Medicineの2006年9月5日号(2006; 145: 333-341)に発表されました。

オリーブオイルには、オリーブそのものを絞って精製したバージンオリーブオイルが最もポリフェノールの含有量が多いそうです。また、ポリフェノールの含有量が少ないリファインオリーブオイルもあります。ポリフェノールの含有量の異なる3種類のオリーブオイルを用意しまし、検討を行いました。バージンオリーブオイルとリファインオリーブオイル、そしてそれらを等量で混ぜたものの3種類で、ポリフェノールの含有量は、リファインオリーブオイル2.7mg/kg, リファインとバージンの混合164 mg/kg,バージンオリーブオイル 366mg/kgとなります。それらを200人の男性被検者に一日25ml、3週間とってもらい検査を行いました。検査は、血糖値、血清脂質、脂質の酸化障害程度、抗酸化物質などを前後に調べました。

その結果、ポリフェノールの多いオリーブオイルをとった人では、善玉コレステロールといわれるHDLコレステロールがわずかながら増加する傾向、中性脂肪が減る傾向、酸化ストレスマーカーが低下する傾向、酸化LDLが減る傾向が認められました。酸化LDLというのはコレステロールの中でも特に動脈硬化を起こしやすいコレステロールで、”超悪玉コレステロール”とも呼ばれます。

3種類のオリーブオイルはオレイン酸の含有量は同じですから、オリーブオイルの効果というのは、オレイン酸という不飽和脂肪酸であるということよりも、多くのポリフェノールを含んでいることが重要だということが示されたといえるでしょう。

そしてよくいわれるように、オリーブオイルを使うならバージンオリーブオイルを使うべきということの正当性も裏付けられたといえるかもしれません。

しかし、3週間という短期間の効果ですし、25mlもの油を毎日とり続けたらそれはまたからだによくないかもしれませんので、長期間の効果と安全性については慎重に評価するべきでしょう。

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