ピザと心筋梗塞の関係

ピザを多く食べる人の方が心筋梗塞になりにくい、という興味深いデータが発表されました。

プレンチパラドックスという言葉があります。フランス人は同じヨーロッパ人の中でも心筋梗塞になる人が少ないという不思議な現象のことです。その理由は赤ワインにあるのではないか、という推測から、赤ワインに含まれるポリフェノールの抗動脈硬化作用が明らかにされていきました。一方、イタリアではピザを多く食べている人の方が心筋梗塞になりにくいのではないか、ということが以前から指摘されていたのだそうです。今回、それを明らかにする研究が発表されました(European Journal of Clinical Nutrition 2004, 58, 1543- 1546)。

研究は、1995年から1999年の間に行われました。507人の心筋梗塞を初めて起こした入院患者さん(男性378人、女性129人、25〜79歳)と、心筋梗塞とは関係ない疾患で同じ病院に入院した478人(男性297人、女性181人、25〜79歳)について、食生活についての聞き取り調査を行いました。特に、ピザについては週に何切れ食べるか(一切れは200g)を調査しています。ピザを食べている量により4グループに分けています。全く食べない、時々食べる(月に1〜3切れ)、よく食べる(週1切れ以上、週平均250g)、特によく食べる(週2切れ以上、週500g以上)の4グループです。

分析の結果、心筋梗塞発症のオッズ比は、全く食べない人たち1.01に対して、時々食べる人は0.78、よく食べる人は0.62、特によく食べる人は0.44という結果でした。

ピザに含まれる何らかの添加物が心血管系のリスクに良い効果をもたらしている可能性を指摘しています。また、イタリアではピザはPizzeriasという比較的安い、伝統的なレストランで作られていて、ファーストフードとしては少なく、その、伝統的なピザの栄養組成は、100gのピザに、炭水化物50g、トマトソース20g、モッツァレラチーズ20g、オリーブオイル4g、2gのイーストおよびその他のトッピングとなっているそうです。

オリーブオイルやその他の添加物が動脈硬化予防効果に関連していると推測されますが、ピザに隠された力はまだ解明されていません。このような結果があるからといって、ピザばかり食べては身体によいわけはありませんが、ピザに隠された動脈硬化予防効果の秘密が解明される日も遠くないことでしょう。

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