コレステロールを下げる野菜食の効果の最新研究

高コレステロール血症の治療には、食事療法が大切です。食事療法のポイントとしては、飽和脂肪酸(動物性脂肪)とコレステロールの摂取量を減らすことが強調されています。さらに、大豆蛋白や食物繊維、ナッツ類やにんにくもコレステロールを下げる効果があることが報告されており、これらを組み合わせることでさらに効果が上がると考えられます。今回紹介する論文はそれらを組み合わせた食事が、従来の食事療法よりもさらにコレステロールを下げる効果があったというものです。(Annals of Internal Medicine, 2005年5月3日号, 2005; 142: 725- 733 )

30〜65歳の男女120人を対象としたものです。対象となった人たちのBMIは31未満、つまり高度の肥満の人は含まれていません。対象者の血清コレステロール値については、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が130〜190でした。2通りの食事をとってもらいました。“低脂肪食”と“低脂肪プラス食”の二つで、前者は、飽和脂肪酸10%(総摂取エネルギー比)以下、コレステロール300mg以下の食事です。後者はさらに、野菜、全粒製品を多くしたものです。

その食事を4週間とってもらったところ、低脂肪食の人たちでは、総コレステロールが9.2、LDLコレステロールが7.0低下しました。低脂肪プラス食をとった人たちでは、総コレステロールが17.6、LDLコレステロールが13.8も下がりました。中性脂肪、HDLコレステロールも若干低下傾向がありましたが、大きな変化ではありませんでした。期間は4週間と短期間ですが、これだけの差が出ていますので、長期間続ければさらによい効果が期待できるものと考えられます。

低脂肪プラス食の特徴は、大豆、食物繊維、にんにく、植物ステロールが豊富なことです。

野菜をたくさんとる、蛋白源は肉ではなく大豆蛋白からとる、といったことを心がけると食事療法の効果はさらに上がると考えられます。

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