りんご病について

今年は小学校でりんご病が流行しています。今回はりんご病について解説します。正式には伝染性紅斑といいます。ほっぺたが赤くなることからこの名がついたと考えられます。英語圏では"slapped cheek disease"といいます。ひっぱたいたほっぺた病とでも訳せばいいでしょうか、やはり特徴的なほっぺたの発疹に由来しています。

これは、ヒトパルボウィルスB19というウイルスの感染による病気です。

好発年齢は6〜12歳。飛沫感染で感染します。

典型例では、7〜12日の潜伏期を経て、倦怠感、頭痛、筋肉痛、咽頭痛、微熱などの風邪と同じような症状が出現し、1週間後、両頬部に紅斑1〜2日後に四肢にレース状編み目模様の紅斑が出現します。発疹は4〜7日で消失し、紅斑はしばしば痒みを伴います。しかし、症状が軽く、紅斑が出てはじめて気づく場合も多いです。紅斑の出る頃は病気の時期は終盤になっています。そのころはすでに感染力は低下しており、他の子にうつす心配はないので、状態がよければ学校を休ませる必要はありません。一度かかると再びかかることはないと言われています。

紅斑は寒冷、熱、直射日光などで増強しますので、プール、野外での活動には注意が必要です。

怖い病気ではありませんが、注意が必要な場合がいくつかありますので紹介します。

1)妊娠中の感染では胎児水腫が発症し、流産、死産の原因となることがあります。りんご病にかかったことのない妊婦さんは注意が必要です。しかし、すべての妊婦さんで流産、死産となるわけではなく、妊娠前半に母親が感染すると,胎児死亡の危険性は10%未満であり,妊娠後半の感染ではこれより危険性は低い(メルクマニュアル第17版日本語版) といわれています。あまり心配せず、必ず産科の先生に相談してください。

2)溶血性貧血という貧血のある患者さんでは貧血が悪化することがあります。

3)ウイルス感染ですので予防接種に影響が出る可能性があります。これについてはまだはっきりとしたデータはありませんが、今回の流行に伴い上福岡市医師会ではBCG接種許可基準を決めました。この基準については今後見直される可能性もあります。りんご病にかかったお子さんが予防接種を受ける予定がある場合はかかりつけの先生に相談してください。

4)大人が感染した場合、関節痛などリウマチに似た症状を示す場合があります。もし、そのような関節痛が起きて、その時期にお子さんがりんご病にかかっていたというようなときは、診察を受けるときに先生に申し出るのがよいでしょう。