第8回 健康講座 “サラサラ”な血液とは
血液がサラサラというのはどういうことでしょうか。
血液は全身に栄養を送り、老廃物を取り除くために全身を循環しています。その循環がスムースに行われないと体の中のいろいろなところに支障を来し、健康が障害される原因となります。血管が詰まってしまい血液が流れなくなった状態を血栓症といいます。脳梗塞、心筋梗塞、壊疽などがそうです。いずれも突然に起こり、時には命に関わる重大な疾患です。逆に、血液をサラサラに保つことができれば血管のつまりは解消されます。
このような事態にならないようにするには血液の流れをよくすることが大切で、つまり、血液をサラサラな状態にすることが大切なのです。
血液は血清と血球によって構成されています。.血清には水、電解質、タンパク質、脂肪、糖分など、血球には白血球、赤血球、血小板などが含まれます。これらのいずれの成分も血液のサラサラ状態に関係します。
血球の異常によるドロドロ血液
- 血小板:血小板は傷のついた血管壁(内側)にくっついて傷を治すのに重要な働きをします。血管壁にくっつきやすいよう粘りのある性質を持っています。血小板の機能に異常があると血小板は血管壁にくっつきやすくなり血栓の原因となることがあります。血小板の機能異常は体温の異常によっても起こり、後で述べる入浴とも関連します。
- 赤血球:血球の中で最も数が多く、容易に変形し毛細血管の中もすり抜けるように通っていく性質があります。しかし、赤血球の変形能が低下して変形しにくくなっていたり、赤血球同士がくっつきやすいと血液が毛細血管に詰まりやすくなります。特殊な血液の病気で起こります。
血清側の異常によるドロドロ血液
- コレステロール(特に悪玉コレステロール)が高いと血管壁にアテロームという固まりを作り、これが血栓の原因となります。特に悪玉コレステロールや酸化された脂質はアテロームに取り込まれ、大きくなります。善玉コレステロールのHDLコレステロールはアテロームからコレステロールを吸収し、アテロームを小さくする働きを持っています。
- 中性脂肪が高いと血液の粘りが増し、血液の流れを悪くします。
- 血糖などが高い、つまり糖尿病では動脈硬化(特に細い血管)が起こりやすくなり、血液の流れが悪くなる原因となります。
- 高尿酸血症も動脈硬化を進める要因となります。
血管の異常によるドロドロ血液
- さらに、血管自体に問題があっても血液の流れは悪くなります。動脈硬化で血管が硬くなったり、血圧が高くなると血液は流れにくくなります。
血液をドロドロにする要因をまとめると以下のようなものが挙げられます。
過酸化脂質、コレステロール、中性脂肪、飽和脂肪酸(動物性脂肪)、血糖、血管損傷、たばこ、運動不足、ストレス、喫煙など
喫煙、運動、ストレス、アルコールについて補足します。
- 喫煙と虚血性心疾患の関係
- たばこを吸う人は、本数が多いほど虚血性心疾患にかかりやすいことが知られています。
- 運動と善玉コレステロール
- 一日の歩行数が多いほど善玉(HDL)コレステロールが高いことがわかっています。
- ストレスの影響
- ストレスはアドレナリンの分泌を促進し、血圧を上げ、心拍数を増やし、血管に負担をかける原因となります。
- アルコールと心筋梗塞
- 少量のアルコールはHDLコレステロールを増やしますが、量が多いと心筋梗塞になりやすいことが知られています。
血液をサラサラにするには
- 食事、運動、入浴、ストレス、禁煙 などに注意が必要です。
- 高脂血症、糖尿病、高血圧などがあれば当然それらに必要な治療が大切です。
血液をサラサラにする食事とは
- 魚に含まれる不飽和脂肪酸(EPA、DHEA)は血栓の予防によいといわれています
- 野菜は食物繊維、ポリフェノールなどの抗酸化物質、その他の成分の働きにより血栓を予防するといわれています
- これらの成分を多く含んだ魚、野菜を効率よくとることが大切です。
- 詳しくはこちら(NHKためしてガッテンのホームページ)をご覧下さい。
血液をサラサラに保つための入浴法
- 熱い湯(42℃以上)に入った直後2分間は血圧が変動しやすいので熱い風呂は避けましょう。
- 体温が2℃上がると血小板が血管にくっつきやすくなり血栓の原因になりやすいので、ぬるめの風呂であっても長く入っているのはよくありません。以下の時間を目安にしましょう(NHKためしてガッテンより)
- 44℃→5分以内、42℃→7分以内、40℃→10分以内の入浴がよい。
- 心臓に負担をかけないために半身浴(肩までお湯につからない)や寒い風呂(家族の中で一番最初など)に入らないなども重要です。
これらのことにも注意し、血液をサラサラに保つようにしましょう。
<参考文献>
マンガためしてガッテン、同第2巻、青春出版社
血液をサラサラにする60の方法。主婦と生活社
臨床雑誌内科 Vol87, No5, 2001
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