健常成人における昼寝の効果

午後3時前の30分以内の昼寝は夜間の睡眠に影響することもなく、日中の眠気に対して効果があるといわれています。また、中南米や地中海沿岸諸国では昼寝が習慣化しているそうです。そして、それらの国では冠動脈疾患による死亡率が低いことも知られています。

冠動脈疾患のある人々にとっては、昼寝をする方が身体にはよくないのではないかという指摘もあります。心臓発作などは早朝に起こることが多く、それは、目覚めたときのホルモンバランスの変化などが関係しているだろうと考えられています。昼寝をすると、同じ変化が昼寝後にも起こるため、早朝と同様の危険に身体はさらされるというのが理由のようです。

今回発表された論文(Archives of Internal Medicine 2007年2月12日号、2007; 167; 296-301)では、冠動脈疾患のない人たちについて、昼寝の効果を長期間にわたって検討しています。

対象となったのは、ギリシャ在住の23,681人です。この方たちは、心疾患の既往はなく、いわゆるリスクファクターも持っていません。平均6.32年の追跡調査を行いました。昼寝の程度については、全くしない人、定期的にしている人(週3回以上、一回30分以上)と、その中間の3段階に分けました。その結果、昼寝をする人の場合、全くしない人の冠動脈疾患による死亡率を1とすると、危険率は0.66、つまり、昼寝をすることによって冠動脈疾患の死亡率が37%減少したことになります。特に、働いている男性ではその傾向が強く、定期的に昼寝をする場合、全く昼寝をしない人に比べて冠動脈疾患による死亡率は0.36倍でした。

つまり、健康な(リスクファクターがない)働いている男性の場合、昼寝をする人ほど冠動脈疾患になりにくいという示されました。しかし、前述しましたように、すでにリスクファクターを持っている人にとっては、昼寝でも、早朝と同じホルモンバランスの変化や、血圧の変動に身体がさらされることになり、狭心症や心筋梗塞の発作が起こりやすい状況になりますので、昼寝から目が覚めたときもすぐには起きあがらず、布団の中で伸びをしたりして、身体を慣らしてから起きるようにしましょう。

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