紫外線について
平成17年5月17日より、気象庁は紫外線情報の提供を始めました。紫外線の量は、天候、太陽高度などに左右されるため、分かりやすく14段階で表示し、注意を喚起するものとなっています。
一昔前は、たとえば子供が夏休みに外で遊んで、真っ黒に日焼けする、というのは健康的な過ごし方のようにいわれていました。状況が変わってきたのは、オゾン層の破壊と関係があります。紫外線には有害な成分と、害のない、日焼けだけをもたらす成分があります。オゾン層は有害な成分が地表まで届くのを防いでくれています。そのオゾン層が近年破壊され、紫外線の健康に対する考え方も変わってきたのです。
そのあたりの詳しいことは、気象庁のホームページや、環境省のホームページに詳しいので参考にしてください。
今回は、私は、紫外線の良い面と、怖い面の境界はどのあたりかということについて調べてみました。
紫外線は、皮膚のビタミンDを活性化し、カルシウムの吸収を良くするといった作用があり、骨粗鬆症の予防には、日光浴が勧められています。紫外線のよい面です。では、どのくらいの紫外線なら骨粗鬆症の予防に良くて、どのくらい以上だと健康への悪影響が心配されるのでしょうか。
実は、ビタミンDの活性化に必要な紫外線はほんのわずかでいいようなのです。いろいろな記載がありますが、中波長紫外線はビタミンDの合成に必要であるが、ビタミンD所要量は30分未満の顔面、手背のみの日光暴露で十分産生される(文献3より)、とか、顔や手への1日15分間の紫外線暴露で十分(文献2)など、とされています。従って、それ以上の日光浴は、かえって皮膚がんのリスクなどが高まるため避けるべきと考えられます。
気象庁の紫外線予報のインデックスが8以上のときは、外出時は必ず、日焼け止めクリームなどを使用しましょう。
紫外線には、日焼けの原因となるUVAと、やけどや皮膚がんとの関連も指摘されているUVBとがあります。UVAも長時間当たると健康被害のおそれがあります。これらを防ぐには日焼け止めクリームがよいとされています。
そこで、日焼け止めクリームについて解説します。このホームページのインターネット膠原病教室でも紹介しましたが、日焼け止めクリームの、UVBを防ぐ働きの強さはSPF で、UVAを防ぐ働きはの強さはPA で表されます。紫外線を防ぐには、SPFは最低15で、SPF、PAともいずれも強いものを使うことが勧められています。また、日焼け止めクリームは外出30分前には塗っておき、汗をかいたり水にぬれたときは2時間ごとに塗りなおすことも必要です(参考文献4より)。クリームの塗り方に関しては、興味ある報告があります。SPF15の日焼け止めクリームを光線過敏症の患者さんに使っていただいた検討ですが、多くの患者さんは化粧品メーカーが勧める使い方よりかなり薄く塗っていたために、表示されているSPFの効果が得られないということでした。また、塗りそこねの多い領域として後頸部、頸部側面、こめかみ、耳などが指摘されています(参考文献5より)。塗りそこねのないように塗るようにしましょう。
<参考文献>