禁煙の効果を余命で見ると
タバコは健康によくありません。がんや動脈硬化、呼吸器疾患が増え、総死亡率でみても喫煙者の死亡率は非喫煙者より高いことがわかっています。それは今まで多くのデータが示していることです。ですから喫煙者に対しては、禁煙が勧められています。しかし、喫煙者の方からみると、やめたらよくなるのか、というのが知りたいところではないでしょうか。喫煙していた人がやめた場合、どのくらいの効果があるのか、という疑問にこたえてくれるデータが示されました。
New England Journal of Medicine 誌2013年1月24日号(N Engl J Med 2013; 368-: 341- 350 )に発表された論文を紹介します。
米国で行われたと大規模な調査で、25歳以上の、113、752人の女性、88、496人の男性を対象に行われました。1997年から2004年の間にインタビューを行い、2006年末の時点で生存状況を確認して調査を行いました。
まず、総死亡率では、25〜79歳では、喫煙者の死亡率は非喫煙者の3倍でした。特に、喫煙者の死亡原因の60%は喫煙と関連のあるものでした。
そして、禁煙するとどのくらいのメリットがあるか、というと、禁煙の効果は大きく、余命が明らかに延長していました。
余命の延びでは
という結果になりました。研究なのでどうしても死亡率で検討するわけですが、寿命が10年違うということは、恐らく、健康で暮らせる期間はそれ以上に長いということになるだろと思います。
禁煙を支援するのは、寿命まで元気でいてもらうためです。喫煙は認知症の発病との関連も深く、年をとってからの生活の質Quality of Lifeに大きく関わってきます。
禁煙に取り組もうという一つのきっかけになれば幸いです。