子供の受動喫煙と虫歯の関係〜パパのたばこで子供が虫歯に!?

たばこの健康に及ぼす影響は多く知られています。また、たばこを吸う本人だけでなく、近くにたばこを吸う人がいると、吸わない人にも害が及ぶことも知られています。それは、”副流煙”といって、たばこの外に出てくる煙にも有害物質が含まれているためで、その煙を吸ってしまうことを”受動喫煙”といいます。受動喫煙にも健康に及ぼす弊害が多いことはよく知られています。

今回、受動喫煙によって子供の虫歯が増えるという論文が発表されましたので紹介します(Journal of American Medical Association 2003年3月12日号、vol 289, p1258-1264)

1988年から1994年にかけて行われた調査で、4歳から11歳の小児3531人を対象に検討しています。受動喫煙の程度は血中コチニン濃度で確認しています。タバコに含まれるニコチンは体内でコチニンとして蓄積します。本人が吸わなくても、受動喫煙により体内のコチニンが増えてしまい、健康被害をもたらします。

コチニンの血中濃度0.2〜10 ng/mlを受動喫煙の影響ありと定義しています。この調査の結果、対象となった小児の25%に 未治療の虫歯、33%に治療された虫歯が見つかりました。また、血中コチニン濃度の調査から対象者の53%は受動喫煙ありと判断されました。コチニン濃度、つまり、受動喫煙の程度と虫歯の発生率とには明らかな相関関係がありました。たとえば、コチニン濃度が0.05ng/ml以下の小児に比べ、コチニン濃度0.05〜0.2では未治療の虫歯の検出率は1.3倍、コチニン濃度0.2〜1.0では2.2倍、1.0以上では2.3倍となっていました。

つまり、喫煙は、喫煙者自身の健康だけでなく、子供の歯の健康にも影響を及ぼすということです。

禁煙に成功するためには、”たばこが体によくない”という理解と、”たばこはもうやめよう”というきっかけがまず大切です。虫歯の治療の痛みを経験したことのない人はいないでしょう。お子さんが歯医者さんで痛い思いをして泣いて帰ってきたら、”自分がたばこを吸っていなければ・・・”と、ちょっと考えて下さい。喫煙習慣のあるお父さん、お母さんたちの禁煙のきっかけの一つとなる情報となれば幸いです。

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