日焼け止めを常用することでメラノーマ(悪性黒色腫)は予防できるか

紫外線には発がん性があり、長期間、強い直射日光を浴びつつけることは皮膚がんの発生を増加させることが指摘されています。特に、近年はオゾン層の破壊も重なり、地上に届く紫外線が強くなっていることも懸念材料となっています。その予防策として日焼け止めを使うことが推奨されています。皮膚がんの中でも扁平上皮がんというがんについては、日焼け止めの予防効果が示されていました。今回、メラノーマ(悪性黒色腫)という、皮膚がんの中でも特に悪性のがんでも日焼け止めの効果が示されました。

Journal of Clinical Oncology2011; 29(3): 257- 263に報告されたものです。オーストラリアの中でも亜熱帯のクイーンズランド州ナンブールで行われた研究です。1621人の成人を対象とし、日焼け止めを常用するグループと比較して使用しないグループに分けました。常用するグループに対しては、頭、首、腕、手に毎朝、SPF16の日焼け止めを塗り、汗などかいた場合は塗り直す、ということにしました。5年間それを続けてもらいました。経過観察は10年間にわたって行いました。その10年間に、日焼け止めを常用した812人から11人の、使用しなかった809人からは22人の新規のメラノーマ患者さんが発生しました。さらに、メラノーマの中でも特に悪性度の高い、浸潤性メラノーマについては、日焼け止めを常用した人たちからは3人、使用しなかった人たちからは11人という結果でした。このように、日焼け止めには一定の効果が認められたということになります。

 

米国では日焼け止めの正しい使い方として、次のようなことが推奨されています。

以下の部分に日焼け止めを二度塗り、もしくは茶匙一杯分の日焼け止めを外出前に塗る。それを塗る部分というのは、頭、首、耳、体幹の前面、体幹の後面、腕、手の甲、肩、足の下半分、足の上半分、足の甲です。つまり、一回に茶匙15杯程度の日焼け止めを塗るということになります。さらに日中汗をかいたら塗り直す、ということが推奨されています。日焼け止めがすぐになくなってしまいそうです。また、紫外線を防ぐ衣類、長袖のシャツ、つばの広い帽子、長ズボンなども推奨されています。米国では2010年の1年間に68,130人の新規のメラノーマの患者さんが見つかっているそうです。日本の場合はそれほど紫外線は強くありませんし、日本人に多いがんではありませんが、日焼け止めを有効に使うためにはそのくらいしっかり塗らなければいけないという点は覚えておきたいものです。

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