学生さんのためのページ 医学部2

1997年、順天堂大学膠原病内科在籍中に医学部6年生の学生指導をしていたときに出した問題をこのHP用に改訂したものです。

症例問題 1〜2
60歳、女性
主訴:眼球乾燥、脱力感
現病歴:6年前、右耳下腺腫脹が出現し、消炎剤の投与で軽快した。4年前、全身の脱力、筋肉の痙攣が出現し、某病院を受診。低カリウム血症を認め、カリウム製剤の投与により軽快した。その後関節痛、眼球乾燥、口腔乾燥も伴うようになり、当科外来を受診。現在でもカリウム製剤と重曹の投与を続けている。
既往歴:17年前、子宮筋腫手術
家族歴:特記すべきことなし
現症:血圧128/ 70 mmHg、脈拍 72 /min、整。耳下腺、顎下腺の腫脹なし。舌の萎縮あり。胸部聴診所見、呼吸音、心音異常なし。腹部に異常所見なし。関節の腫脹は認めないが両手、両膝関節の疼痛を認める。両下腿全面に色素沈着を認める。
検査所見:白血球4300/μl (好中球54.0%、リンパ球33.5%、単球10.5%、好酸球1.5%、好塩基球0.5%)、赤血球483万/μl、ヘモグロビン13.7g/dl、ヘマトクリット40.4%、血小板15.8万/μl、ESR 49mm/h、CRP 0.4 mg/dl、RAPA 1280倍、IgG 3278 mg/dl、IgA 461mg/dl、IgM 92mg/dl、CH50 48.5、抗核抗体160倍、Speckled pattern、Na 139mM/l、K 3.5 mM/l、Cl 106mM/l、尿蛋白(-)、尿糖(-)、尿pH 8.0、動脈血ガス pH 7.363、PCO2 43.6 Torr、PO2 80 Torr、HCO3 25.1mEq/l、BE 0.0mEq/l、SaO2 95.3%、重曹投与中止2日後の動脈血ガス pH 7.343、PCO2 39.3 Torr、PO2 94 Torr、HCO3 21.5mEq/l、BE -3.2mEq/l、SaO2 96.9%

1.本症例は下記のどの2疾患の合併がもっとも考えられるか
a)遠位尿細管アシドーシスを合併したシェーグレン症候群
b)糖尿病を合併したシェーグレン症候群
c)Barter症候群を合併した関節リウマチ
d)ループス腎炎を合併した全身性エリテマトーデス
e)周期性四肢麻痺を合併したシェーグレン症候群


2.予想される検査所見として正しいものはどれか
1)尿中β2ミクログロブリン7350 μg/l
2)尿中Ca排泄低下
3)重炭酸排泄率高値
4)腎石灰化
5)抗SS-A抗体 256倍
a (1, 2, 3) b (1, 2, 5) c (1, 4, 5) d (2, 3, 4,) e (3, 4, 5)

3. 本症例の両下腿の色素沈着について正しいのはどれか
a) palpable purpuraとよばれるものである
b) 高ガンマグロブリン血症に伴うものである
c) 圧痛を伴う
d) 長時間立位でいると増悪する
e) 治療により速やかに消失する


解答:1.  a 2.  c 3. b

3. 関節リウマチにおけるステロイド薬の適応として正しくないのはどれか
a. 抗リウマチ薬が無効ないし副作用で使えない場合
b. 活動性が強く進行性である場合
c. 関節の拘縮を認める場合
d. 職業的活動あるいは主婦の仕事が著しく妨げられる場合
e. 妊娠・出産を希望し活動性がある場合

解答:c

4. 以下のうちCPK上昇を伴わないものはどれか
a. 多発性筋炎
b. Duchenne型筋ジストロフィー
c. 重症筋無力症
d. McArdle病
e. 薬剤による横紋筋融解症

解答:c

ホームへ