学生さんのためのページ 医学部3
1998年、順天堂伊豆長岡病院内科在籍中に医学部5-6年生の学生実習指導をしていたときに出した問題をこのHP用に改訂したものです。
Skills Analysis問題
			
			
			 21歳男性。生来健康であったが、本年5月頃より時々手、足関節が痛むことがあった。10月2日より38℃台の発熱があり、6日、近医を受診。経口抗生物質、解熱剤が処方されたが改善なく、7日には別の近医を受診。40℃の発熱、CRP 3.9、WBC 3800を認め、耳下腺炎の診断でセフェム系抗生物質、クリンダマイシンの点滴投与、デキサメサゾン2.5mgの投与を行い、翌8日当院耳鼻科外来を紹介された。両耳下腺の腫脹、頸部リンパ節の腫脹も認め、耳下腺炎の診断で、治療を継続したが、デキサメサゾンの減量に伴い、発熱が再発。食事もとれないため、10日入院となった。
			
			【既往歴】“おたふくかぜ”はおそらくやったと思うとのこと
			
			【職歴と作業環境】消防隊に所属し、現場で働いている。まる24時間、救急患者の搬送、消防などの緊張度の高い仕事に従事し、翌日は24時間休み、という2日のサイクルで仕事を続けている。
			
			【現症】血圧 120/60 mmHg、脈拍 78/ min、整、体温 40.4 ℃。貧血あり、黄疸なし。頸部リンパ節触知。甲状腺腫大なし。両耳下腺腫脹、圧痛あり。頸部血管雑音なし。胸部:心音呼吸音正常。Velcroラ音聴取ぜず。心窩部に血管雑音を聴取。腹部異常所見なし。下腿浮腫軽度あり。顔面、下肢に輪状紅斑、結節性紅斑を認める。
			
			【検査】WBC 7600, seg 68%, stab 5%, eosino 2%, mono 4%, Lymph 21%, Hb 14.3, PLT 25.7, TP 7.3, ALB 3.3, γgl 25.4%, GOT 37, GPT 22, γGTP 16, LDH 792, TBIL 0.4, BUN 9.7, CREA 0.9, Na 139, K 4.7, Cl 97, TCHO 164, TG 146, IgG 2777, IgA 203, IgM 116, CRP 19.1, RF (+), 尿蛋白(-), 尿糖(-)
			
			
			上記の資料に基づき、問題1から4が次のa, b, c, d, eのいずれに該当するか判断せよ。
			
			a 正しい判断である。
			
			b 誤った判断である
			
			c 多分正しいが断定できない
			
			d 多分誤っているが断定できない
			
			e 正しいとも誤っているとも判断できない
			
			
			問題1 ムンプスの可能性はない。
			
			問題2 眼科的な検査が必要である。
			
			問題3 自己抗体を測定する。
			
			問題4 退院後は仕事を変えることが必要である。
			問題5 一時的に解熱したこととデキサメサゾンの投与とは関係がない
		
			
			 答え
			
			
			問題1 b
			
			
			問題2 a
			
			
			問題3 a
			
			
			問題4 c
			問題5 b
		
			
			 症例問題
			
			
			
			54歳の男性。生来健康だったが、2ヶ月前より全身倦怠感が出現し、1週間前より、発熱、筋力低下を伴うようになる。特に、ベッドからの起きあがり、トイレでの立ち上がりが困難になった。当科外来を受診。上腕、大腿の筋肉に圧痛を認め、血液検査でCPK、LDHの増加を認めた。
			
			
			
			本症例について正しいのはどれか。2つ選べ。
			
			
			a 胸部レントゲン、CTなどにより肺病変の検索が必要である
			
			
			b 家系内で血族結婚があると考えられる
			
			
			c 髄液検査が診断に重要である
			
			
			d 筋電図で低振幅、短持続の電位が見られる
			
			
			e 高乳酸血症を伴う
			
			
			
			答え
			
			
			a, d
		
(問)活動性慢性関節リウマチ患者さんの日常生活で障害されやすい動作として最も可能性の低いものはどれか
a 雑巾を絞る
b スーパーのレジなどでお釣りをもらう手の動作
c ソファーからの立ち上がり
d 深呼吸をする
			e 顔を洗う
			
			正解:d
(問)強直性脊椎炎患者さんの日常生活で障害されやすい動作として最も可能性の低いものはどれか
a 背伸びをして高いところにあるものを取る
b 字を書く
c 地面に落ちているものを拾う
d ベッドからの起き上がり
e 深呼吸
			
			
			正解:b