タバコと肺癌の関係

“タバコをやめて、肺癌死のリスクがなくなるのには20年以上かかる”こんなショッキングな見出しが9月18日付の読売新聞に載っていました。

タバコと肺ガンの関係は以前より言われています。では、タバコを吸っていると、肺癌のリスクがどのくらい高くなるのでしょう、本数とは関係があるのでしょうか、また、やめれば大丈夫なのでしょうか?こんな疑問に答える結果が報告されました。文部省の調査で、11万人を対象に10年間実施した大規模調査です。

これによると

@肺癌で死亡するリスクは、喫煙者は非喫煙者に比べて4.46倍。

A本数が多いほどそのリスクも高くなり、一日9本まで吸う人は非喫煙者に比べ、肺癌で死亡するリスクが2.27倍高い、10〜19本では3.14倍、20〜29本で4.99倍、30〜39本で6.37倍、40〜49本で9.55倍、50本以上だと10.41倍となる。

B禁煙を実行した人でも、2.36倍。(つまり、過去に吸った習慣があると、禁煙しても、吸ったことがない人に比べると2.36倍、肺癌で亡くなることが多い)

B禁煙を実行すれば徐々にそのリスクは減っていく。禁煙を実行してから5〜9年で2.53倍に、10〜14年で2.01倍、15〜19年で1.22倍、20年以上たった人ではじめて非喫煙者並みとなる。

という結果です。

非喫煙者にとっては、吸っていなくてよかった、という結果ですが、今タバコを吸う習慣のある人にとってはあまりうれしくない結果かもしれません。たとえ今タバコをやめても肺癌になるリスクがなくなるのに20年もかかる、と思えるからです。今さらタバコをやめても意味がないじゃないか、と思われる方もあるでしょう。でもそのように考えるのはやめましょう。もし今、一日20本吸っていたとすると、禁煙して5年以上たてば肺癌で死亡するリスクは半分になります(4.99倍から2.53倍に減少)。また、タバコには肺癌だけでなく、いろいろな病気を引き起こす危険性があるのです。それを下の表に示します。急性影響については禁煙すれば早期に効果が現れるはずです。

タバコは吸わない方がよく、吸っているならできるだけ早くやめる、これが大切です。

たばこの弊害(がん以外)(日医ニュース“健康ぷらざ”より改変)

分類 急性影響、症状など 慢性影響、疾患など
呼吸器系 咳、痰など 慢性気管支炎、肺気腫、呼吸機能障害
循環器系 血圧上昇、心拍数増加、末梢血管収縮、循環障害、手足のしびれ感、肩こり、まぶたの腫れなど 虚血性心疾患、大動脈瘤、末梢血管閉塞、脳血栓、くも膜下出血
消化器系 食欲低下、口臭、その他の消化器症状など 胃十二指腸潰瘍、慢性萎縮性胃炎、歯周病、口内炎、白斑症など
中枢神経 知的活動性低下、睡眠障害など 脳萎縮、白内障、難聴
その他 免疫機能低下、糖尿病、糖尿病合併症、骨粗鬆症、皮膚のしわなど

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