杖を持つ手はどちら?
膝を痛めたり、足首をねんざしたりして杖(一本杖)を使わなければならない場合、どちらの手に持った方がよいでしょうか。
左足を痛めているとします。その場合、右手に杖を持って体を支えるのと、左手に持って体を支えるのとどちらがよいのでしょうか?その人の歩き方や手の力によっても違ってきますが、一般的には、杖を持つのは痛くない方の側、つまり右手に持つのがよいとされています。
なぜでしょうか。簡単に解説します。
杖は、痛めた足にかかる荷重を軽くするために使います。二本足で歩く以上、右足と左足は交互に前に出さなければなりません。ですから、右足を地面からはなしている間は、痛めている左足と杖で体重を支えることになります。そのとき、左手に杖を持っていると、体重は左足とそのさらに外側の杖で支えることになります。そうすると体の重心を極端に左に寄せなければ杖に体重をかけることはできません。これでは重心の左右移動が大きく腰を痛める原因にもなります。また、杖が滑ってしまったたき転ぶ危険性が高くなります。しかし、右手に杖を持っていればこの重心の左右移動は少なく、また、杖が滑っても右足で支えることができるので転ぶ危険性も少なくてすみます。ですから杖は痛い足と反対側の手に持つのがよいとされているのです。
左は一般的なT字杖。右はロフトランド杖。後者は握力の低下した患者さんに適しています。
杖の長さ
杖は痛めた足にかかる荷重を減らすために用いるので、杖自体にある程度の荷重(体重の1/4から1/2といわれています)がかかります。杖の長さを適正にしておかないと腕によけいな負担がかかります。杖の適正な長さは、直立の姿勢で杖を接地させたときに肘が30°曲がるくらいの長さとされています。

大切な“転ばぬ先の杖”ですから適切に使いましょう。

<参考文献>
リハビリテーションレジデントマニュアル(医学書院)
リハビリテーション医学(南江堂)
標準リハビリテーション医学(医学書院)
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