痛風になりやすい食事、なりにくい食事について

痛風は、突然、足の親指の付け根の関節などが腫れて痛くなる病気です。その原因は、血液中の尿酸が増えて、関節内で尿酸の結晶を作り、それが刺激となって関節炎を起こすためと考えられています。従って、血液中の尿酸値が高いと痛風を起こす危険性が増します。また、血液中の尿酸値が高い状態が長く続くと、動脈硬化の原因ともなります。

尿酸は”プリン体”といわれる物質から作られるため、プリン体を多く含む食品をとると尿酸値が上がると考えられています。それは、多くの動物実験や、短期間の臨床実験によって証明されています。しかし、実際にどんな食生活で痛風になりやすくなるのかといったことはまだ明らかになっていませんでした。今回発表された論文(New England Journal of Medicine 2004年 3月10日号、2004; 350, 1093-1103)では、食生活の調査を行い、食生活にどんな特徴のある人が痛風を起こしやすいかを調べたものです。

痛風を起こしたことのない47,150人のアメリカ人男性について、12年間の調査を行っています。その12年間に730人の痛風患者さんが発生しています。

食事については、肉類、シーフード、乳製品、プリン体の多い野菜などの摂取量をそれぞれ5段階に分け、痛風の発生との関連を調べています。

結果は次の表のようになりました。

摂取量の段階 1 3 5
<0.8
1.13〜1.46
>1.96
1日何回食べるか
1.0
1.28
1.41
シーフード
<0.15
0.29〜0.36
>0.56
1日何回食べるか
1.0
1.45
1.51
プリン体含有量の多い野菜
<0.35
0.51〜0.71
>1.05
1日何回食べるか
1.0
1.10
1.96
乳製品
<0.88
1.36〜1.91
>2.88
1日何回食べるか
1.0
0.66
0.56
低脂肪乳製品
<0.20
0.57〜0.99
>1.69
1日何回食べるか
1.0
0.80
0.58
蛋白摂取量
<15.9%
17.6〜18.9%
>20.7%
エネルギー比率
1.0
1.14
1.07

(表の見方:摂取量を5段階に分けています。段階5の人はその食材をもっとも多く摂っていることを示します。赤枠内の数字は、摂取量の最も少ない人たち(段階1)に比べて痛風の発生率の比を表します。たとえば、肉を非常に多く摂っている人(段階5)は、少なく摂っている人(段階1)より1.41倍、痛風の発生率が高い、ということになります。)

つまり、肉やシーフードを多く食べている人は痛風になりやすく、乳製品、特に低脂肪乳を多くとっている人ほど痛風にはなりにくい、という結果となっています。プリン体の多い野菜の摂取量、総蛋白摂取量と痛風の発病とは関連は見られませんでした。

乳製品は、血液中の尿酸を下げる働きがあることがわかっており、今回、痛風の発生を予防する効果もあることが確認されたことになります。また、プリン体の多い野菜というのは、カリフラワー、グリーンピース、なめこ、ほうれん草、しいたけなどです。これらは、理論的には尿酸が増える可能性がありますが、実際には痛風を起こしやすくするほどの影響はないということになるようです。

したがって、蛋白源として肉や魚よりも、乳製品や大豆などの植物性蛋白がいいということになるかもしれません。

結局、バランスよくいろいろなものを食べる、ということが肝心なのですね。

今回の論文は、あくまでも痛風の新しい発病について検討したものですので、すでに痛風を起こした人では、再発予防という点では、アルコール摂取を控えること、水分を多めにとることも重要です。

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