難しいカロリー計算、特にラージサイズの食品で

バランスのよい食事をとるためには、毎日の食事の総カロリーを適正にコントロールすることがまず大切です。それは、ご自分で作る場合も、外食でも同じです。特に、外食では、思っているよりカロリーが高いことが多く、外食の機会が多いサラリーマンの方の場合などの栄養管理を難しくする要因の一つでもあります。そこを克服するためには、外食でも自分が何カロリーくらい食べたのかだいたい計算できることが望ましいということになります。

ところが、今回発表された論文では、外食のカロリーを過小評価してしまうのは、人が肥満かどうかではなく、食品のサイズであることも重要であることが示されました。どういうことかというと、肥満の人ほど食品のカロリーを低く見積もっているのではないかと考えがちですが、そうではなくて、だれでも食品のサイズが大きくなるほど、カロリーを過小評価してしまう傾向があるというのです。そして、肥満の人はサイズの大きいものを食べてしがいがちであるというのです。

論文はAnnals of Internal Medicine 2006 年9月5日号に掲載されました(2006; 145: 326-332)。

研究は2つの調査に基づいたものです。一つめは、アメリカ中西部の町でのハンバーガー・サンドイッチのファーストフードの店で、食事をすませた人たちの4人に一人の割合で、自分が何カロリー食べたと思うか、というインタビューを行いました。そして、実際に食べた量を専門家がカロリー計算し比較するというものです。105人の人たちから聞き取りを行いました。二つめは、40人の大学生に15種類の食品のカロリーを計算してもらいました。食品は、チキンナゲット、フライドポテト、コーラで、サイズを3種類に分けました。3種類をA, B, CとするとBはAの2倍、CはBの2倍という関係です。たとえば、チキンナゲットでは、3個、6個、12個をいうように食品のサイズを構成しました。これにより15種類の食品は、445kCalから1780kCalと様々なエネルギーのものになりました。それらを見て何カロリーかを計算してもらったというわけです。

その結果、第一の研究では、スモールサイズの食品を食べた52人の計算したカロリーの平均は419kCalで、実際は514kCal。ラージサイズを食べた53人の人たちの計算は675kCalで、実際は1188kCalでした。また、体重で分けると、正常体重の62人の計算の平均は508kCalで、実際は683kCal、肥満の43人の計算は570kCalで、実際は957kCalでした。つまり、肥満の人たちは実際より過小評価する傾向はありますが、それ以上に、ラージサイズを食べると誤差が大きくなるという傾向が認められました。第2の研究でも同様の結果が得られており、とくに、こちらでは、肥満の人たちの過小評価はあまり大きくなく、むしろ食品のサイズにより過小評価の程度が大きくなる傾向が認められました。

この結果から、論文の著者らは、肥満の人たちは、食品のカロリーを低く見積もっていてとりすぎているというより、人は誰でも食品のサイズが大きくなるとカロリーを低く見積もってしまう傾向があり、肥満の人は、ラージサイズを好んで食べる傾向がある、と述べています。そして、一つの解決策として、レストランが、メニューにカロリー表示をすることだと述べています。また、カロリー評価を実際に近づけるためには、ラージサイズは思っているカロリーの倍あると考えることかもしれない、また、基準となるサイズを常に頭に入れておくことだ、とも指摘しています。

外食が続くと体重のコントロールが難しくなるのはよく経験することです。外食の食品自体のカロリーが高く、脂肪分が多いことも原因の一つと考えられますが、カロリーを低く見積もっている、ということもあるのですね。外食用のカロリースケールや、書物もありますし、レストランによってはカロリー表示もしています。それらを手がかりに、バランスのよい外食を楽しむようにしましょう。

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